月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER

「前例は僕がつくればいい」ロッテ・佐々木朗希の“歴史的な4月”…甲子園の興行主から白井球審まで、あまりの“規格外”に日本中がうろたえた 

text by

プチ鹿島

プチ鹿島Petit Kashima

PROFILE

photograph byKYODO

posted2022/05/02 06:02

「前例は僕がつくればいい」ロッテ・佐々木朗希の“歴史的な4月”…甲子園の興行主から白井球審まで、あまりの“規格外”に日本中がうろたえた<Number Web> photograph by KYODO

完全試合試合達成を祝福される佐々木。今季は4月24日時点で5試合に先発し、3勝0敗、防御率1.50。昨季は11試合に先発し、3勝2敗、防御率2.27だった

 産経新聞の一面コラム「産経抄」にもギョッとした。佐々木が完全試合ペースも8回で降板した翌日の文章(4月19日)。

《毎日新聞で元横浜(現DeNA)監督の権藤博さんが、井口監督の決断を「立派なこと」と評価していた。権藤さんといえば昭和36年、中日の新人投手としていきなり35勝を挙げている。もっとも登板過多がたたり投手生活はわずか5年で終わった。その反省があって指導者になってからは、投手に無理をさせなかった。》

 まさかの締めはこのあと。

《「権藤、権藤、雨、権藤」。こんな流行語が生まれた時代にはもう戻れない。しかしあの頃、プロ野球はもっと輝いていたようにも思える。》

 ええっ、酷使で投手が数年で引退した「あの頃」のほうがよかったの? 正直かなり引きました。

3戦連続で注目を浴びる男

  まさかの展開は次のオリックス戦(4月24日)だった。佐々木の完全イニングは1回で早々に止まったのだが問題はそのあと。

『え~!?白井球審が詰め寄った 判定への表情 不服に映った!?』(デイリースポーツ・4月25日)

 佐々木が白井一行球審に詰め寄られる場面があったのだ。日刊スポーツの見出しは『朗希途切れた 球審はキレた』。上手。

 納得できた論評としてスポニチの「記者の目」(4月25日)を紹介しよう。

《今回は暴言を吐かれたわけでもない。佐々木朗の態度に注意したいのなら、イニングが終わったときや試合後にすればいいことだ。円滑に試合を進めるべき立場にある審判が、試合を止めてまでやるべき行動ではない。感情をコントロールできない審判が、冷静なジャッジができるとも思えない。(スポーツ部野球担当部長・飯塚 荒太)》

 球審に絡まれた今回の件はともかく、佐々木朗希は前代未聞の存在なので常に論議に巻き込まれてしまうのかも。ちなみに佐々木本人は昨年の2月時点のインタビューでこう語っていたのである。

「『周りが』とか『昔は』とか比べがちだけど前例はなくていいと思う。それは僕がつくればいいと思うので」(スポーツ報知・2021年2月10日)

  前例は佐々木朗希が作る。いいぞ、いいぞ! 着々と有言実行のシーズンです。

関連記事

BACK 1 2 3
佐々木朗希

プロ野球の前後の記事

ページトップ