サッカーの尻尾BACK NUMBER
井手口陽介「亨梧くんが結果を残しているから、リスペクトが」率直に語る“日本人同士の競争”とポステコグルー監督との関係性
text by
豊福晋Shin Toyofuku
photograph byGetty Images(Celtic FC)
posted2022/06/26 18:03
リーグ優勝を果たした際の井手口陽介
「同じポジションには(旗手)怜央もいます。日本人選手がいることでやりやすさもあるけれど、限られたポジションでもある。怜央が先に結果出しているのですごいなとは思うけど、当然悔しい。ここで定位置を確保するためには、もっと自分のプレーや特長を全面的に出していかないといけない。
セルティックのサッカー自体がすごく攻撃的なので、持ち味を出すとしたら攻守の切り替えの部分。守備から攻撃、攻撃から守備というスイッチを自分がやっていけたらと思う。インサイドハーフには攻撃的な選手が多いので、それとはまた違う自分の良さをこれから出していけたら」
ポステコグルー監督に求められるタスクを
ポステコグルー監督には自分の良さを出せ、と言われている。ちなみに2017年、オーストラリア代表を率いていた指揮官は日本代表とのワールドカップ最終予選で井手口に豪快なミドルシュートを決められている。
「彼にとっては最高だろうが、私にとってはとても苦い記憶だよ」とポステコグルーが言う一方で、井手口は「あんなゴールは頻繁には出ないです」と笑う。
「ゴールやアシストの結果も大事だとは思うけど、自分の場合そこは難しいところでもあります。それほど攻撃的な選手でもないので、簡単ではない。ただ求められる部分でもあるので、狙いながらいきたいですね」
2017年当時の自身と比較すると、いまではより周囲を見るようになったという。一度日本へと帰り、Jリーグでプレーした2年半も少なからず影響を及ぼしている。
「自分の良さやスタイルを取り戻す時間でした。それに加え、ガンバではチームの中での立ち位置も、もう若手ではなくなっていました。チームを引っ張る、責任感が出た2年半だったかな。昔は何も考えずに、がむしゃらに走ってましたし、ある意味、自分の本能だけで動いていた。それが、チームで年下が増えたことでその選手がやりやすいように、気を使いながらやるようになりましたね」
経験がもたらす他者への配慮を成長と見ることはできる。しかしそれにより、彼本来の本能的、野性的な持ち味が隠れてしまうことはないのだろうか。