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野ボール横丁BACK NUMBER
もはや野球野球したデザインはダサいのか…いま高校球児の間で“静かなブーム”になっているジャージ「このマークいらないんだよな」の声
text by
中村計Kei Nakamura
photograph bySankei Shimbun
posted2022/04/22 17:02
花巻東・佐々木洋監督(左)と話す佐々木麟太郎。同校が甲子園で着ていたグランドコートは、無地に見えるが左肩のところに同色で「HANAMAKI HIGASHI」と入っていた
星 これまでのミズノは、漠然とした表現になってしまいますが、がっしりし過ぎていた。芯が厚いというか、全体的に硬くて、高校生レベルでは使いこなせない印象がありました。プロ好みのハタケヤマのミットに近い感じと言えばいいんでしょうか。ハタケヤマは硬いけど、自分仕様に育てることができれば抜群にフィットするし、ハードな使用にも耐えられる。ミズノはこれまでそっち路線だったと思うんです。ただ、うちのお客さんはミズノのミットをはめると、だいたい首を傾げてましたね。「う~ん……」って。どう捕ればいいかイメージが湧かないんでしょうね。そこへ行くと、ゼットのミットは、はめた瞬間のインスピレーションが抜群なんですよ。キャッチングのイメージがパッと広がる。親指がきちんと収まる形状といい、柔らかさといい、厚みといい、軽さといい、すべてのバランスが整っている。今回、ミズノは、そのゼット路線に変更したのかなという感じがします。はめただけで、扱いやすさが格段に進歩したのがわかります。あとは昨年の秋の大会が終わってから、選抜に向けての営業努力の賜物だと思います。今大会、ミズノのミットは新品が目立ちましたから。中には試合によってミットの色が変わっている選手もいた。ミズノのミットを複数個、持っていたんでしょうね。
どこのチームも「野球野球してないデザインがいい」
――私が見た目でいちばん気になったのは、実は、広陵の中井(哲之)監督のスタジャンでした。袖が白で、ボディが黒という、実にシンプルなデザインで、ぱっと見、マークも何も付いていなかった。ベースボールの草創期のスタジャンのような雰囲気があって、とてもカッコよく映りました。
星 去年の春、中京大中京の監督も着ていましたよね。
――そう、そう。その時も、気になったんですよ。
星 あれはミズノの完全別注モデルのようです。中井監督は、ブラウン系の革のトートバッグを使っていて、あれもカッコよかったですね。おそらくグラブの革を使ったものだと思います。最近は、どこのチームも「野球野球してないデザインがいい」っていうようになってきたんですよね。高校野球における、コテコテの定番ファッションみたいなのって、あるじゃないですか。メーカーのマークも「ミズノです!」って、めっちゃ主張していて。でもロゴ等も下地と同色にしたり、小さめにする傾向が強くなってきました。「このマークがいらないんだよな」っていう人、増えましたもん。校名も、ユニフォーム以外は、さりげなく入れるようになってきましたよね。花巻東が甲子園で着ていたデサントのグランドコートも、一件、無地に見えますが、左肩のところに同色で「HANAMAKI HIGASHI」と入っていました。あれはオリックス・バファローズのものをモデルにしているのだと思います。
あれも“静かなブーム”ですね
――びっくりしたのですが、最近は、大手セレクトショップのビームスとゼットがコラボウェアを出していますよね。