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“V率100%”も苦境のソフトバンク…「口ひげの1番打者」三森大貴23歳に覚醒の予感「三森が指を差せば何かが起きる」「三森軍師!ステキ!」
posted2022/04/12 11:01
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Sankei Shimbun
「V率100%」――開幕してまだ2週間が過ぎたばかりで、福岡では早くもそんな報道が出るほどホークスの快進撃に沸き立っている。
たしかに球史に残る開幕ダッシュを決めた。まずは開幕8連勝だ。これは新人監督の開幕連勝新記録で、藤本博史監督が歴代トップに名を刻んだのだ。
そして冒頭の「100%」は、わずか11試合で10勝到達に起因している。これが球団史上3度目の出来事で、過去はいずれも優勝を果たした。1948年、1955年とかなり大昔の事例なのだが……。
開幕ダッシュも栗原&柳田が離脱…
だがしかし、決して楽な戦いではなかった。
開幕8連勝中の点差は1点差3試合、2点差2試合、3点差3試合。すべて3点差以内の開幕8連勝は初めてだった。また、その全8試合でセーブがついた。「開幕から」の条件を外してもチーム8試合連続セーブはプロ野球新記録。抑えの森唯斗は6セーブを荒稼ぎした。
僅差を勝ちきるのは地力の高さの証明だが、それにしてもしんどい試合が続く。現在のホークスは打線がなかなか振るわない。だが、それも致し方ない。栗原陵矢が3月30日のマリーンズ戦(ZOZOマリン)で左膝の大怪我を負った。開幕から全5試合に5番打者で先発出場して打率.353、2本塁打、5打点とポイントゲッターになっていた。さらに、柳田悠岐が4月5日のバファローズ戦(PayPayドーム)の走塁でヘッドスライディングをした際に左肩を痛め、その2日後に出場選手登録を抹消された。
そんなチームの苦境をカバーしているのが、鷹のリードオフマンに定着しつつある三森大貴(23歳)だ。
ひときわ目立つ“クールな1番打者”
4月5日の試合では二回に、プロ初ホームランとなる逆転3ランを本拠地のライトスタンドに放った。この日は続く打席でもタイムリーを放ってプロ入り自己最多の4打点の大活躍。開幕8連勝を決めた試合でヒーローになった。
「最高の結果になったと思います」
ホームランを放った際には気合の雄叫びを上げていたが、タカ番の記者のあいだでは「珍しい」と話題になった。普段からとにかくクール。今時の若者にしては珍しいタイプで、プロ野球界の「笑わない男」の代表格といってもいいほどだ。