ボクシング拳坤一擲BACK NUMBER
村田諒太に勝機は…? ゴロフキンと拳を交えた淵上誠と石田順裕の“証言”「計量時にこれはヤバイと」「石で殴られているかのよう」
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byGetty Images
posted2022/04/07 11:02
石田順裕さんが「別格」と語るゲンナジー・ゴロフキン(右)とサウル“カネロ”アルバレス。2度目の対戦は判定2-0でカネロに軍配が上がったが、多くのファンや識者がジャッジに異論を唱えた
「昔ほど神がかってはいない」GGGの“攻略法”とは?
淵上さん、石田さんはゴロフキンが30歳そこそこだったタイミングで対戦した。あれから10年近くがたち、「次のラウンドで倒すな、と思うところで倒さなくなった」(淵上さん)、「昔ほど神がかっている感じはなくなってきた」(石田さん)と多少の変化を認めている。それでもなお、ゴロフキンがミドル級ナンバーワン王者であることに異論をはさむつもりはない。
では、村田はいったいどのようにしてゴロフキンに挑めばいいのだろうか。
「まずは村田くんが本来のボクシングをすること。変に足を使うのではなく、いつも通り、日本人離れした体の強さとパワーを武器に前に出ていってほしい。僕でもパンチは当たった。村田くんのパンチが当たらないことはないと思う」(淵上さん)
「ゴロフキンを下がらせること。1ラウンドのゴロフキンはたぶん様子見なので、そこでプレスかけてどんどんパンチを打つ。右ストレートをボディに打ってもいい。ゴロフキンはボディが弱点と言われていますし、効かせていって消耗させればチャンスはあると思います」(石田さん)
GGGのボディ弱点説は2019年10月、セルゲイ・デレフヤンチェンコ(ウクライナ)とのIBF王座決定戦で、ボディ打ちを受けて効いたような仕草を見せたことが根拠となっている。ボディブローが一つのキーパンチになることは村田陣営も認めるところで、パワーのある村田が左右のボディを打ち込んでいけば、ゴロフキンとてノーダメージではいられない。
問題はあのパワフルでシャープなジャブをかいくぐり、村田がゴロフキンとの距離をいかに詰められるかにかかっている。村田自身、3月28日の公開練習で次のように語っている。
「1ラウンド目の流れが一番大事な気がする。思ったよりもプレッシャーかけられるとなれば、すごいチャンスあると思うし、簡単にいなされてしまう、ジャブでまったく入れないとなったらきつい。その入りが一番大事なポイントだと思います」
日本ボクシング史上最大の試合で村田は歴史を塗り替えることができるのか。淵上さんと石田さんは、「すごい試合になるのは間違いない」と口をそろえている。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。