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村田諒太に勝機は…? ゴロフキンと拳を交えた淵上誠と石田順裕の“証言”「計量時にこれはヤバイと」「石で殴られているかのよう」
posted2022/04/07 11:02
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph by
Getty Images
4月9日、さいたまスーパーアリーナでゴングが鳴るミドル級2団体統一戦、WBAスーパー王者の村田諒太(帝拳)と、IBF王者ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)のビッグファイトが目前に迫ってきた。その実績から戦前の予想はゴロフキンに傾くが、いったいゴロフキンはどこがそんなに強いのか。そして村田はどこに勝機を見いだせばいいのか。過去にゴロフキンと拳を合わせた2人の証言から、“日本ボクシング史上最大”とうたわれるビッグマッチの見どころを探った。
「かみ合う」と自信を胸にウクライナに乗り込むも…
五輪金メダリストとして抜群の知名度を誇る日本のスター村田と、元ミドル級3団体統一王者のGGG(トリプルジー)ことゴロフキンによる一戦。両選手のファイトマネーはゴロフキンが15億円、村田が6億円とも報じられており、そのとてつもない金額には圧倒されるばかりだ。そんなゴロフキンのファイトマネーがまだ数千万円という新米王者のころ、GGGに挑戦した日本人選手がいる。日本&東洋太平洋王者だった淵上誠さんだ。2012年5月12日、ゴロフキンにとって4度目の防衛戦で、舞台はウクライナだった。
28歳だった淵上さんのゴロフキン挑戦が正式に決まったのは試合の2週間前。しかも前の試合からの間隔は1カ月しかなかったが、淵上さんはGGGの試合映像を見て「かみ合う」とほくそ笑んだ。調整も万全で、大きな自信を胸にウクライナに乗り込んだ。
「ゴロフキンのように前に出てくるタイプは得意なんですよ。確かにパンチは強いだろうけど、パンチを逃がす自信はあった。周りから無理と言われましたけど関係ない。高校を卒業してプロになるときも、日本を取るときも、東洋太平洋チャンピオンになるときも、自分は周りから無理だと言われながら目標を達成した。だから全然気になりませんでした」
サウスポーの淵上さんはフットワークと柔らかいボディワークを武器にした技巧派。前に出るゴロフキンをマタドールのようにさばいて、後半勝負を目論んでいた。しかし、初回終盤にパンチで右目上から出血し、視界がぼやけてからは一方的にやられた。