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3Rで再戦を制し、王座奪回。寺地拳四朗が見せた衝撃の変身。
posted2022/04/04 07:00
text by
前田衷Makoto Maeda
photograph by
KYODO
「その手があったか……」
試合が始まってすぐ、挑戦者の寺地拳四朗がこれまでのイメージを一新する攻撃的な戦法を採り、チャンピオンの矢吹正道にプレッシャーをかけ続ける姿を観たときの感想がこれである。
昨年の「年間最高試合」ながらラフファイトが論議を呼んだ因縁の再戦。前回王座を追われた寺地が3回、右ストレートを矢吹のアゴに叩き込みKO勝ち。リベンジを果たすとともにWBC世界ライトフライ級王座を半年ぶりに奪回した。
寺地の戦法の変更は、サプライズと言われた。しかし、アマチュア時代の寺地を知っていればすぐ思い出せるだろう。関西学生リーグで活躍した頃は、3ラウンド休みなく手を出し続ける典型的なファイター型だったのだ。それゆえプロ転向以降、距離を保って戦うボクサー型にチェンジした方が驚きで、むしろ本家返りしたようなものだった。