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ルーキー大勢22歳が“守護神”に、大器・堀田賢慎20歳がプロ初勝利…躍動する巨人の若手投手を“潰さない”桑田コーチの「年間計画」とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2022/04/02 20:00
3月31日のヤクルト戦に先発し、プロ初勝利をあげた巨人・堀田。2019年のドラフト1位がいよいよその才能を開花させようとしている
そしてマット・アンドリース投手とマット・シューメイカー投手の2人の新外国人投手が間もなく一軍に合流して先発ローテーションに加わり、さらに二軍には高橋や山口俊投手ら予備軍がいる。
少数精鋭だった昨年の先発陣から、今年は先発投手が大きな塊となった。その中で入れ替えを行いながら、シーズンを通して先発全体のパフォーマンスを維持する。
そういう起用法になるのだ。
これはクローザーについても同じで、大勢だけに頼るのではなくバックアップもしっかり作る。大勢に疲労が見えれば、ムリ使いするのではなくビエイラやデラロサを起用、そして故障があければ中川をセットにしてシーズンを乗り切ることを考えている。
そこが今年の巨人の投手陣の危機管理であり、去年との大きな変化なのである。そしてそれができるのは、やはり山崎や赤星、堀田や大勢という若い力があるからだ。
「勝利と育成」という二律背反するテーマへの答え
もちろん全てが順調に進んでいくことはないだろう。山崎は2度目の先発となった4月2日の阪神戦では7安打3失点で4回途中でマウンドを降りた。大勢も阪神戦では2セーブを挙げたが、1日には大山悠輔内野手に2ランを浴び、2日の2戦目も四球から1点差に迫られるなどヒヤヒヤの投球が続いた。
「苦しんではいるけれど、しかしセーブが付くというところがね。何というか、綺麗な形で反省できるというのがいいんじゃないでしょうか」
こう大勢を評したのは原監督だ。
だからこそ逆に新たに加わったその若い力をムリ使いする必要はない。リスクを回避しながら、しっかり実績を積み上げさせて2年後、5年後の土台作りをしながら、チームの戦力として機能させる。
これが「勝利と育成」という二律背反するテーマへの巨人の答えだった。
「同じ力なら今年は若い選手を思いきって使うというのがチーム方針。もちろん実績のあるメンバーたちがガーッと上がってくるのもいいことではあるけど、経験値がないことをマイナスではなく、逆にプラスに捉えるような状態のチームを作っていきたい。それができれば、今年は新しいジャイアンツへの一歩を踏み出す年になるはずです」
原監督は若手起用についてこう語る。
いまだけではない。
チームの未来につなげるために、この芽は大事に育てる。
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