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ルーキー大勢22歳が“守護神”に、大器・堀田賢慎20歳がプロ初勝利…躍動する巨人の若手投手を“潰さない”桑田コーチの「年間計画」とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2022/04/02 20:00
3月31日のヤクルト戦に先発し、プロ初勝利をあげた巨人・堀田。2019年のドラフト1位がいよいよその才能を開花させようとしている
桑田コーチが設定した年間イニングの目標は?
「山崎と堀田については年間100イニングを目標にしている」
こう語るのは投手陣を預かる桑田真澄投手チーフコーチだった。
そのために山崎と堀田は当面、球数は100球未満に抑えて、さらには2回先発したら一度一軍登録を抹消して、10日間の休養期間を作って肘を休める起用法を考えている。
また大勢については連投を2試合までに制限して、3連投はさせないのが起用のルールだ。
赤星も100球を目処にシーズンでの総投球数をある程度、抑えて起用していく方針となる。
背景には昨年のシーズン終盤の大失速が……
いずれにしても最初から飛ばさせるのではなく、しっかりと休養を与えながら、年間を通じた登板シミュレーションを行って、戦力としていくという起用方針なのだという。
そこで原監督と桑田コーチの意見が一致しているということだ。
背景にはやはり昨年のシーズン終盤の大失速があるのは間違いないだろう。
昨年は駒不足から9月に入って先発投手を中5日のローテーションで回した。基本的にはきちっと球数制限をしながら信頼できる投手5人で先発陣を編成するのは、原監督が理想とする形ではある。
ただ、昨シーズンを振り返るとシーズン終盤の蓄積疲労がある中で、中5日での先発は結果的には失敗となった。
特に若い戸郷翔征投手や高橋優貴投手らは、昨年だけではなく、体力的な問題からシーズン終盤にフォームを乱して、本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまうことが続いていた。そこに加えて中5日が負担になったのは明らかだった。シーズン終盤にもしっかりと自分の投球ができる体力と技術的な修正力を身につけること。それがシーズンを通じて活躍できる一流投手への必須条件なのは言うまでもない。逆の言い方をすれば、2人がなかなか殻から抜けだせない原因もそこにある。
ならばそれなりの起用法でシーズン終盤にしっかり力を発揮できる環境を作って手助けをする。それが今年の桑田コーチの発想だ。
だから今年から加わった新戦力についても、まず故障リスクを可能な限り排除して、年間を通じて働ける起用法を優先する。