酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
連続完投で決勝→猛打の大阪桐蔭に大敗…「金足農・吉田輝星と近江・山田陽翔」の一致に見る“7日で500球以内”への憂慮
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2022/04/02 06:01
センバツ決勝、大阪桐蔭戦で先発した近江・山田陽翔
<個人安打数10傑>
丸山一喜(大阪桐蔭/大阪)4試20打12安0本11点 率.600
金田優太(浦和学院/埼玉)4試17打11安1本4点 率.647
谷口勇人(大阪桐蔭/大阪)4試15打9安2本7点 率.600
海老根優大(大阪桐蔭/大阪)4試19打8安2本6点 率.421
津田基(近江/滋賀)5試22打8安0本2点 率.364
黒田義信(九州国際大付/福岡)3試13打7安0本5点 率.538
川元ひなた(近江/滋賀)5試21打7安0本0点 率.333
木津寿哉(國學院久我山/東京)4試15打7安0本3点 率.467
伊藤櫂人(大阪桐蔭/大阪)4試19打6安2本5点 率.316
岸本紘一(金光大阪/大阪)3試14打6安0本2点 率.429
個人記録でも大阪桐蔭勢が圧倒しているが、2位の11安打を打った浦和学院の金田優太は、4試合すべてでマルチヒット、本塁打1本、二塁打4本の大暴れだった。この10傑のうち2年生は國學院久我山の木津寿哉だけだ。
1984年のPL学園は、2年生の桑田真澄、清原和博の「KKコンビ」が中心で、話題もこの2人に集中していたが、今年の大阪桐蔭は丸山一喜、谷口勇人、海老根優大、伊藤櫂人、松尾汐恩、星子天真とプロ注目の強打者が目白押しだった。
海老根優大は千葉出身、伊藤櫂人は岐阜出身、星子天真は熊本出身。全国から有望な選手を集める大阪桐蔭ならではの陣容と言えよう。
実戦形式の練習が制限される状況下では
打撃面だけでいえば、大阪桐蔭が次元の違う強さを見せた。この背景には、新型コロナ禍という特殊な事情があったと言えよう。
高校野球では例年12月1日から3月7日まで対外試合禁止となっているが、通年であればその期間も全体練習や紅白戦など実戦形式の練習をする。秋の大会に基づいて甲子園出場が決まった学校は、こうした「冬の練習」で、実力アップするのだが――今年は、まん延防止等重点措置によって、学校に集まっての練習が制限された。
日本高野連は今年、特例的に3月5日から対外試合解禁としたが「まん防」によって身動きが取れない地域もあった。
今年の出場校の多くは、冬の間に伸び代を十分に伸ばすことができず、前年までの実力をベースにして出場した。ために、もともと有望素材が集まっていた大阪桐蔭が圧勝したのではないかと推測される。
「7日で500球以内」に対する憂慮とは
投手に関しては憂慮すべき事態があった。