酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
連続完投で決勝→猛打の大阪桐蔭に大敗…「金足農・吉田輝星と近江・山田陽翔」の一致に見る“7日で500球以内”への憂慮
posted2022/04/02 06:01
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Nanae Suzuki
2022年春の甲子園(センバツ)は、かなり異例の大会だったと言えよう。それは数字からでもはっきりとわかる。投打それぞれの成績を見ていこう。
まず、出場32校の得点10傑は以下のようになる。
大阪桐蔭(大阪) 4試 51得 6失
近江(滋賀) 5試 25得 25失
広島商(広島) 1試 22得 7失
浦和学院(埼玉) 4試 19得 8失
國學院久我山(東京) 4試 18得 20失
星稜(石川) 3試 13得 10失
聖光学院(福島) 2試 11得 10失
九州国際大付(福岡) 3試 10得 9失
広陵(広島) 2試 10得 4失
金光大阪(大阪) 3試 9得 9失
優勝した大阪桐蔭が、準優勝の近江の倍以上の得点をマークした。この大会の総得点は263点だったが、その5分の1弱が大阪桐蔭だった。
もう一つ、1試合だけだった広島商が22得点で3位に入っている。広島商は1回戦の丹生戦で22-7と大勝したが、その後のPCR検査で複数の選手のコロナ感染が明らかになり大阪桐蔭との対戦を辞退した。これも異例だった。
<チームの総安打数10傑>
大阪桐蔭(大阪) 4試158打61安11本49点 率.386
近江(滋賀) 5試170打44安1本19点 率.259
浦和学院(埼玉) 4試137打38安4本16点 率.277
國學院久我山(東京) 4試120打30安1本16点 率.250
星稜(石川) 3試104打29安1本9点 率.279
九州国際大付(福岡) 3試101打26安0本9点 率.257
広陵(広島) 2試69打24安0本9点 率.348
金光大阪(大阪) 3試104打21安0本8点 率.202
市和歌山(和歌山) 3試93打19安0本6点 率.204
明秀学園日立(茨城) 2試65打19安0本9点 率.292
84年PLが記録した「1試合6本塁打」と比較すると
大阪桐蔭は広島商との対戦が中止になり、4試合しかしていない。しかし、5試合の近江を圧倒している。今大会の本塁打は18本だったが、そのうち11本が大阪桐蔭。1大会11本塁打は、大会新記録だった。
筆者は第3日の3試合を観戦したが、その時点で本塁打は浦和学院・高山維月の1本だけ。甲子園は非常に寒く、今年は打線が振るわない大会かと思えたが、準々決勝以降で大阪桐蔭が大爆発し、終わってみれば2021年の9本から倍増となった。
大阪桐蔭は準々決勝の市和歌山戦で1試合6本塁打。これは1984年のPL学園に並ぶタイ記録だった。
1984年1回戦 PL学園18-7砂川北
桑田真澄2本、鈴木英之、清原和博、黒木泰典、旗手浩二
2022年準々決勝 大阪桐蔭17-0市和歌山
伊藤櫂人2本、谷口勇人、星子天真、工藤翔斗、海老根優大
1984年の旗手浩二は内野手として法政大学でも活躍。息子はサッカー日本代表の旗手怜央だ。