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快挙尽くしのりくりゅう、木原龍一29歳と三浦璃来20歳「まだまだ上にいけます」…五輪から世界選手権まで駆け抜けた2カ月
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2022/03/26 11:04
フランスで開催された世界選手権で、日本のペア、木原龍一・三浦璃来組が史上初の銀メダルを獲得した
「疲れが抜けるのに時間がかかって本来の動きには戻りづらかったです。気持ち的にも1回切れてしまい、作り直すのも2人とも苦労しました」
そんな中、最後に行き着いたのは、2人の原点とも言える「楽しむこと」。
「世界選手権に出て心から楽しんで滑り、僕たちのスケートを世界に届けたいと思いました」
ペアとしてのキャリアは“わずか2年半”
フリーの技術点が伸び悩んだ一方で、演技構成点ではショートで1位、フリーでも2位と高く評価された。ミスは出たものの2位になれた要因であり、三浦・木原が培ってきた力でもある。
フィギュアスケートファンの間では広く知られるようになったが、2人はペアとなって2年半あまりとキャリアは長くない。
ソチ、平昌五輪に出場した木原は平昌時のパートナーと2019年4月にペアを解消。その後、名古屋市の邦和スポーツランドで働いていたが競技生活から退く選択肢も脳裏にあった。
「ペアに向いていないんじゃないかと思っていました」
ソチ、平昌、計3度出場した世界選手権のすべての大会でショートプログラムで下位にとどまりフリーに進めなかったことに苦さがあった。
そのとき前パートナーとペアを解消していた三浦からのオファーでトライアウトを実施した。それが2人の転機となった。
「最初に滑った瞬間から、絶対にうまくいくと確信しました」
木原はそう振り返っている。三浦もまた、「ペアはどちらかが合わせるイメージでしたけど、滑ってみてお互いが合いました」と感じた。
苦楽を乗り越えた先に、北京五輪と世界選手権があった
今思えば、出会うべくして出会った2人は、短期間に世界上位に比肩する技術を身に着け、まさに日本のペアの歴史を塗り替える快進撃を続けてきた。