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VIPルームで学童保育!? ワイン用ぶどう畑やドッグランまで…FC今治の新スタジアムがスゴい! 岡田武史が明かす衝撃的な構想とは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshio Ninomiya
posted2022/03/29 17:00
岡田武史会長が指し示す先に見える、建設中のFC今治新スタジアム。来年1月に完成予定だ
「日本ハムさんは、一つの町をボンとつくっちゃうイメージだよね。本当に凄いことだし、素晴らしいこと。僕らはお金もないから、人が集まる拠点になればいい。ウチには(スタジアムの)近くにイオンモール今治新都心があって、ファンクラブ会員証を持っていたら5%の割引になる。そういったいろんな協力があって僕らはやろうとしている」
イオンモール今治新都心との関係も、広く言えば共助。足りないものをみんなで補い合って、人々を集めて憩いの場にしていく。むしろ足りないくらいでちょうどいい。
便利さよりも大切なことが、きっとある
指導者としてサッカー解説者として岡田は世界のいろんなスタジアム、いろんな町を見てきた。「ちょっとずつヒントをもらって」里山スタジアムの構想が練られていった。その「ちょっとずつ」の一つに、オーストリアのとある小さいクラブの質素なスタジアムがある。あまりに牧歌的な光景がやけに心地よかったという。
「古くて、しっかりしたスタジアムじゃなくて、でも凄くいい感じで。お客さんが周りでバーベキューしながらとか、のんびりした感じで見ていた。トイレも確か一カ所しかなくて、みんなそこにてくてく歩いていく。スタジアムは便利じゃないとダメ、機能的じゃないとダメと言うけど、いやいや、それよりも大切なことがあるんじゃないかと思えた」
温かみ。
最新鋭であることよりも、機能的であることよりも、集まる人々の心が触れ合えるような場所にしていくことを、いの一番にやっていきたいということ。
「If you build it, society will change.」(それをつくれば、きっと社会は変わる)
岡田にも“天の声”が届いているのかもしれない。
写真撮影の際、新スタジアムを指してポーズを取ってもらった。数カットを撮り終えても、彼はしばらく視線を建設現場に向けていた。
岡田武史のフィールド・オブ・ドリームス。
人々が集い、にぎわう光景が社会を変えていくその第一歩となる。 (つづく)
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。