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VIPルームで学童保育!? ワイン用ぶどう畑やドッグランまで…FC今治の新スタジアムがスゴい! 岡田武史が明かす衝撃的な構想とは
posted2022/03/29 17:00
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Toshio Ninomiya
高台にある「ありがとうサービス. 夢スタジアム」から、隣接するFC今治新スタジアムの工事風景がのぞめる。昨年11月に着工したばかりで今はクラブハウス棟の骨組みだけしか拝めないが、来年1月には完成する運びだ。
愛媛・今治市から土地の無償貸与を受け、約40億円の事業費はFC今治が調達する自前のスタジアム。ただ単に、J2、J1昇格を見据えて設備を整えた新しいハコをつくります、という話ではない。社会を変えるアイコンにする。それほどの意気込みが岡田武史からは伝わってくる。
コンセプトは、里山スタジアム。岡田は言う。
「里山とは人の手が入った山。つまり自然と人が共存していけるようなスタジアムにしたい。試合の日だけじゃなく、365日人が集まってここに来たらホッとできるような、自然や人と触れ合って心が豊かになるような場所を目指している」
このスタジアムに“来なきゃいけない状況”を
そのためにスタジアム周辺に目を向けることにした。制作物の拠点となる「アトリエ」、芝生広場の「プラザ」、アート作品を並べる「ジャルダン」、運動や散歩ができる「プロムナード」。ワイン用のぶどう畑を整備し、マルシェなども日々開催できるようにする。資材高騰のあおりを受けたことで樹木による植栽の数を減らそうとも考えたが、「コンセプトの実現には大切」とクラウドファンディング(4月17日まで)で賄うことにした。
「If you build it, he will come」(それをつくれば、きっと彼はやって来る)
これは日本でもヒットしたケビン・コスナー主演の野球ファンタジー映画「フィールド・オブ・ドリームス」において主人公が聞いた“天の声”。トウモロコシ畑から野球場をつくって1919年のワールドシリーズで八百長事件に絡んだとして永久追放された一人、シカゴ・ホワイトソックスの“シューレスジョー”ことジョー・ジャクソンや、亡くなった自分の父が天国からやってくるというストーリー。アイオワにあるこのスタジアムはMLBの公式戦が開催されるようになり、「彼」から「人々」が集まるようになった。