サムライブルーの原材料BACK NUMBER
VIPルームで学童保育!? ワイン用ぶどう畑やドッグランまで…FC今治の新スタジアムがスゴい! 岡田武史が明かす衝撃的な構想とは
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshio Ninomiya
posted2022/03/29 17:00
岡田武史会長が指し示す先に見える、建設中のFC今治新スタジアム。来年1月に完成予定だ
里山スタジアムをつくれば、勝手に「人々」は集まってくるのか。そんなに甘いものではないことは岡田も理解している。キーワードとなってくるのが「共用」である。
「最初は、このスタジアムに“来なきゃいけない状況”をつくっていくことが大事」
スタジアムは試合日以外、一般開放を基本とする。VIPルームやメディアルームなどは、学童保育、課外教育、各種習い事に使ってもらう。学校と連携して、授業をスタジアムで行なうことも想定。ビジネスパーソンの会議や、年配者の集まりに使ってもらってもいい。障がいを持った方にも使いやすい場になることを意識する。
老若男女問わず、見てもらう、触れてもらう、使ってもらう。“来なきゃいけない”から“また行ってみよう”へ。チョコレートファクトリー、ドッグラン、各種フェスティバルなど、人を呼び込むための策もいろいろと考えている。
共用は人のつながりを生む。
FC今治を通じてつくりたいこと
岡田がやりたいのはスタジアムビジネスではない。FC今治の企業理念である「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」の実現だ。共用を共助の社会づくりにつながるドアとする。それが岡田の頭にある。
「FC今治のファンクラブというコミュニティに入ってもらったら、いずれ衣食住を保障しあうようなことだって可能になる。着ない服があったら回して、使える空き家があるんだったらファンクラブのメンバーがボランティアで直して住んでもらえるようにする。食事も、満足に栄養を摂れていない子供たちがいるなら、畑やフードバンクをやるから食材をこちらが提供して、町のシェフにボランティアで参加してもらって子ども食堂やみんな食堂をやる。ベーシックインカム(最低限所得保障)ならぬベーシックインフラ。そういう共助のコミュニティをこのFC今治を通じてつくりたい。今治の人口は約15万人だけど、ファンクラブに登録する人が50万人になることだって考えられると思うんだ」
岡田の口調はどこまでも熱い。