甲子園の風BACK NUMBER
「自分たちの分まで甲子園、楽しんできてね」“中止ばかり”だった3年生からLINE…ブラバン解禁に浦和学院顧問「賛否両論あるのもわかりますが…」
text by
梅津有希子Yukiko Umetsu
photograph byYukiko Umetsu
posted2022/03/24 11:00
センバツで3年ぶりに解禁されたブラバンの生応援。楽器の結露水は、タオルに吸わせて厳重に管理する
厳重な感染対策の中、距離を取り、大声で叫びたい場面でも我慢して、今できる精一杯のエールを送る生徒たちを見て、筆者は「吹奏楽部の応援が許されてよかった。やはり、音楽の力があってこその高校野球」ということを再認識した。
顧問の高畑氏は、吹奏楽の応援について、「賛否両論の声があるのもわかります」という。
「さまざまな声があると思いますが、この子たちは入学式からオンラインばかりで、多くのイベントや大会の中止も経験してきました。主催者の入念な対策のもとで応援が許されたので、甲子園に生徒たちを連れてくることができてホッとしていますし、よかったなという思いです」(高畑氏)
「甲子園で応援できて、感慨無量です」
ホルンの武笠翼くんは、中学生の頃は野球部だったが、浦和学院に入学し、「野球部を応援したい」と吹奏楽部に入部。大分舞鶴に4-0で勝利し、「甲子園で応援できて、感慨無量です。この勢いで優勝までいってほしいです!」と満面の笑顔で話す。
生徒たちは初めての野球応援ということもあり、点が入った時にスムーズに曲が切り替えられなかったり、曲目ボードの出し間違いがあったりと、戸惑う場面も少なくなかった。その都度、顧問の高畑氏は「ストップ!」「違う、次得点歌!」などと叫びたかったが、「大声で叫ぶのは禁止なので、すぐに指示が出せないのがもどかしいところですね」という。
さまざまな制約の中で行われている、アルプススタンドでのもうひとつの戦い。
少しずつだが、甲子園にいつもの景色が戻ってきていることを感じた。