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「それファウルだから」PKの笛は鳴らず…“久保建英が倒された写真”がダービー翌日、現地紙一面に「クボ対策は反則かスレスレしかない」雄弁な証拠
posted2025/05/09 11:03

バスクダービーでの久保建英。スコアレスドローながら今季9度目のMOMに選出された
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中島大介Daisuke Nakashima
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Daisuke Nakashima
5月4日、久保建英を擁するレアル・ソシエダは本拠地サンセバスチャンでアスレティック・ビルバオと対戦した。スペイン北部バスク州を代表するソシエダとビルバオの一戦は、バスクダービーとして知られる。その一戦の撮影に赴いた。
“じつは友好的”バスクダービー
屈強な男たちのプライドをかけたぶつかり合いは一つの見どころだが、数あるダービーの中でも特別なのは、今なおそのルーツが謎に包まれていると言われる“バスク人”という民族的な繋がりがもたらす友好的な雰囲気だ。
春の心地良い青空の下、サンセバスチャンの街では、青と白を身に纏うソシエダファンと赤と白を纏ったビルバオファンが仲良く入り混じって歩き、またビールやワインを楽しむ姿が見られた。スタジアム周りでは、それぞれのマフラーを巻いたカップルが。
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また友達同士のグループでも違った色のユニホーム姿が混ざる。小さな子供を抱えたビルバオユニホーム姿の母親の隣では、ソシエダユニホームの父親が笑顔を浮かべている。1部を主戦場とするチーム同士のダービーで、ここまでの友好関係が見られるのも珍しい。
当初は快晴のサンセバスチャンだったが、21時キックオフに合わせるように空模様が悪くなり、両チームのアップが終わる頃には雨脚がかなり強くなってきた。選手入場時には、そんな様子を窺うように宙を眺める久保の姿が撮影できた。
反則スレスレの相手に対して久保が見せた技術と冷静さ
試合開始早々、右サイドでボールを受けた久保がマークをかわして左足からのクロスで最初の好機を演出する。さらに前線で攻撃の起点となったオヤルサバルからボールを引き出す動きを見せるなど、チームとしての攻撃意識を強く感じさせたが――徐々にビルバオの圧を攻略できず、膠着した状態が続いていった。
さらに中盤の要スビメンディにもミスが目立つと、久保の元まで良い状態でパスが届かずもどかしい状況が続いた。
その中でも久保は技術と冷静さを見せつけた。