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ドゥカティ、KTM、アプリリアの欧州勢が躍進するMotoGPの新勢力図《2022シーズン開幕》
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2022/03/12 17:02
21年型のマシンで見事初優勝を遂げたバスティアニーニ。ドゥカティでの最高峰クラス19戦目での勝利だった
アプリリアは2ストロークエンジン時代は、日本のバイクメーカーと戦い、その後、スーパーバイク世界選手権では何度もタイトルを獲得。MotoGPではこれまで大きな成果を上げていないが、これからの活躍が注目される。2ストローク時代は日本のメーカーがライバルだったが、いまは同じイタリアのドゥカティが最大のライバルでもあり目標となった。MotoGPクラスでイタリアメーカーのライバル関係が生まれるのは初めてのことだが、それがますます開発に拍車をかけることになりそうだ。
日本のメーカーはこれまで「勝って当然」だったが……
こうしてヨーロッパメーカーの躍進ばかりが目立つが、ホンダのエスパルガロが、昨年のドーハGPで13位になった自身のタイムを約15秒短縮して3位になった。チームメートで5位になったマルケスが、「ポルを始め、トップグループが予想より速かった。自分はフロントタイヤのフィーリングに課題があり5位完走を目指した」と語るも、マルケス自身も、19年大会でし烈な優勝争いを繰り広げて2位になったときのタイムを約19秒も短縮し、マシンの進化を感じさせた。しかし、ヨーロッパメーカーの躍進の陰に隠れた。
スズキは、昨年ドーハGPで4位だったアレックス・リンスのタイムを、今年6位のミルが約8秒短縮したが、トップ4が約15秒の進化を見せているだけに、やや物足りない。昨年のドーハGPで優勝したヤマハのクアルタラロに至っては、レースタイムをわずか0.256秒短縮しただけ。タイヤのパフォーマンスを生かせなかったなど、他の理由もあるのだろうが、低迷が際立った。
日本のメーカーにとっては、これまでは「勝って当然」の戦いが続いてきたが、これからはそうも言っていられないような気がする。ヨーロッパのメーカーにとっては「日本のメーカーに勝つことが最大のPR」になった時代から、これからは「1番になる戦い」があたりまえになってきたからだ。
史上最多の21戦が開催される2022年シーズン。今年の戦いを占うのはちょっと早い気もするが、開幕戦カタールGPは、今年のヨーロッパメーカーの躍進を強烈に感じさせるものだった。第2戦インドネシアGPは今週、初開催となるマンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットで行われる。果たして、どんな結果になるのだろうか。日本の3メーカーの逆襲はあるのだろうか。注目される。
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