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ドゥカティ、KTM、アプリリアの欧州勢が躍進するMotoGPの新勢力図《2022シーズン開幕》
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2022/03/12 17:02
21年型のマシンで見事初優勝を遂げたバスティアニーニ。ドゥカティでの最高峰クラス19戦目での勝利だった
過去2年、ドゥカティはコンストラクターズタイトルを獲得するも、ライダーズタイトルは逃している。今年は成長著しいバニャイアのタイトル獲得が期待されており、バニャイアはシーズン開幕前に、早くも来季以降の契約更改にサイン。チャンピオン獲得に集中する環境を作った。
開幕戦はまさかの転倒リタイアだったが、今季は史上最多の21戦という長丁場。ドゥカティは今季4チーム8台体制。ワークスチームがだめでも、こうしてサテライトチームが勝つところに層の厚さを感じさせるし、ドゥカティの強さにブレはない。ドゥカティの最新型「デスモセディチGP22」のこれからの熟成が注目される。
あっという間にトップチームの仲間入りしたKTM
それに続いたKTMも大幅に進化。2位になったビンダーは、昨年ドーハGPで8位だった自身のタイムを約15秒短縮(去年は開幕2連戦という変則スケジュール)。そのビンダーとしばらくバトルを繰り広げたマルク・マルケスは、「KTMは加速が良かった」とエンジンの進化を高く評価した。コロナ禍の中で、21年は20年と同じエンジンとする特別措置が取られたが、マルケスのコメントからも、その間に地道に行ってきたKTMの開発が結果につながったことを感じさせた。
MotoGPに参戦して6年目のKTMは、開発スピードを上げるために、ライバルメーカーなどから積極的に技術者をヘッドハンティングしてきた。その効果もあって、あっという間にトップチームの仲間入りを果たした。KTMのマシン作りはドゥカティとは対照的で保守的なものだが、最高峰クラスの戦いを知り尽くしているプロの集団という印象。マシンのパフォーマンスが上がれば、おのずとライダー獲得競争でもレベルは上がる。オーストリアのバイクメーカーが、オーストリアのレッドブルをメインスポンサーに世界の頂点を虎視眈々と狙っているが、近い将来のタイトル獲得が現実味を増してきた。
アプリリアの進化も目を見張るものがある。15年にMotoGPクラスに復帰したアプリリアは、昨年まではイタリアのグレッシーニ・レーシングにチーム運営を委託してきたが、今年から完全なワークスチームになった。ワークスチームを復活させるために、アプリリアもKTM同様、2輪、4輪メーカーから多くの技術者をヘッドハンティングしたといわれるが、結果を残せないチームに与えられるシーズン中のエンジン開発禁止除外やテスト日数制限除外などの特別ルールを最大限活かし、ワークスチーム復活1年目からライバルメーカーも注目する大きな進化を見せている。