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マルケス「どん底から抜け出せるんじゃないか」開幕直前MotoGPテストの慎重な走りに見えた王座奪還の可能性
posted2022/02/20 11:00
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
スーパースター、バレンティーノ・ロッシが引退したいま、リザルトに関係なく大きな注目を集めるのは、間違いなくレプソル・ホンダのマルク・マルケスだけである。
2月に入って、2022年シーズンに向けての公式テストが、マレーシア・セパンで2日間、インドネシア・マンダリカで3日間行われた。計5日間の公式テストで、マルケスは一身に注目を集めた。
マルケスは長年絶対王者としてMotoGPに君臨してきたが、過去2年はチャンピオン争いには加われなかった。20年は怪我のためにシーズンを棒に振り、昨年はシーズン途中に復帰を果たすも、20年に行った3回の手術と9カ月間の治療でほとんど動かせなかった右腕と体力の回復に多くの時間を費やさなければならなかったからだ。それでいて3勝を挙げているのだから、やはり、怪物君と呼ばれるにふさわしいリザルトだった。
しかし、やっと調子が出てきたシーズン終盤に、モトクロストレーニング中に転倒し、その影響で右目に視力障害が発生。終盤の2戦を欠場した。その怪我の影響で昨年終盤から今年にかけて約2カ月半トレーニングが出来ない状況で、2月の公式テストはほぼぶっつけ本番での参加だった。
慎重な走りに徹した怪物
果たして怪物君がどのくらい走るのか。気の早いマスコミは、マルケスは完全復帰できるのかどうかを話題にした。焦点は、マルク・マルケスが果たして怪物の名にふさわしい活躍をした19年までの走りに戻れるのかどうか、これに尽きた。
結論から言えば、もうあの頃の走り、例えば転倒寸前の滑りの中で、タイヤ2本と肘と膝を使い転倒回避する超人的な走りや、限界を知るために限界を超えて転倒する走りは、この先は影を潜めていくのではないか。実際、マルケスはマレーシアテストの初日に2回転倒しているが、その後は転倒せず、インドネシアを含め着実にテストをこなした。
合計5日間のテストでマルケスは、インドネシアテスト2日目の2番手がベストリザルト。一度もトップタイムをマークすることなく、マレーシアでの総合順位は8番手、インドネシアでは9番手だった。
年が明けて、開幕に向けてレギュラーライダーがニューマシンでテスト出来るのは、この5日間だけであり、昨年のシーズン終了後に行われた公式テストに参加できなかったマルケスにとっては、一周も無駄にできないテストだった。まさに、転んでる場合ではないといってもいい。