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ロコ・ソラーレを支えた“最年長メダリスト”石崎琴美43歳はなぜ慕われる? 元チームメイト・金村萌絵が語った「メッセージカード秘話」
text by
金村萌絵Moe Kanamura
photograph byJMPA
posted2022/02/21 17:00
20日の決勝戦後、藤澤五月の肩を抱く石崎琴美。フィフス(リザーブ)としてロコ・ソラーレの快進撃を支え、冬季五輪の日本人最年長メダリストとなった
琴美ちゃんって「この人と一緒にカーリングをやりたい!」と思わせる選手なんです。どんな役割を与えられても、他の選手たちに気持ちよくプレーさせてくれる。今回のロコ・ソラーレの場合フィフス(リザーブ)という立場でしたが、すでに完成されているチームに5人目が入ることで歯車が噛み合わなくなってしまう可能性もある。彼女自身も「自分が入ってチームがよくならなければ意味がない」と話していましたし、フィフスとしての覚悟と重圧は相当大きなものだったはずです。
客観的に改善点を指摘することや、連日連夜のストーンチェック(試合前に石の曲がり具合などをチェックする)、チームの雰囲気作りなど、大会を通じて琴美ちゃんの貢献は非常に大きかったと思います。じつはカーリングへのこだわりはとても強い選手なのですが、彼女自身もロコ・ソラーレのスタイルが好きだからこそ喜んでフィフスとして参加している。どのチームでもいいというわけではなく、彼女にとっても最高のマッチングだったんだな、と感じました。
バンクーバーで感じた本橋麻里の「意志の強さ」
ロコ・ソラーレを立ち上げた本橋麻里ちゃんも、琴美ちゃんと同じくチーム青森時代の元チームメイトです。彼女は本当に意志が強くて、バンクーバー五輪で成績をあげることができず、選手村で一緒にご飯を食べているときも、すでに“次”のことを考えていた。私なんかは負けたショックでけっこう落ち込んでいたんですけど、彼女は「このままじゃいけない。環境を変えなければ」と。自分たちのカーリングに足りない部分を、その時点でもう模索していたんです。
カーリング選手としての技術の高さももちろんですが、麻里ちゃんはなにより感覚が鋭かったですね。一緒にプレーしているときから、目の前で起こっていることだけでなく、根本的に「なにかが足りない」というのをすぐに感じることができる人でした。そのセンスと意志の強さが多くの人を惹きつけて、ロコ・ソラーレという素晴らしいチームができていったのではないでしょうか。
麻里ちゃんはとても優しくて、人に対しても寛容で、自由を愛するタイプ。そのキャラクターは、どんなときものびのびとプレーする今のロコ・ソラーレにもしっかりと受け継がれていると思います。