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吉田知那美が語った“笑顔を絶やさない理由”「楽しむには覚悟がいる」…なぜ北京五輪でカーリング女子日本代表は輝いたのか?
posted2022/02/21 11:04
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Naoya Sanuki/JMPA
2月20日、カーリング女子決勝が行なわれ、日本代表の「ロコ・ソラーレ」はイギリスと対戦、3-10で敗れ、銀メダルという成績で北京五輪を終えた。
決勝こそ敗れたものの、日本カーリング史上初のメダルとなる平昌五輪・銅メダルに続く2大会連続のメダル獲得だ。日本カーリング界にとっても非常に大きな意味があり、何よりもチームが北京五輪まで歩んできた4年間の、たしかな足取りの証ともなった。
しかし、カーリング女子日本代表がこの北京五輪で残したのは、銀メダルという証だけではない。
「ナイススイープ!」決して笑顔を絶やさない前向きな姿勢
試合中、選手同士で掛け合う言葉や会話、明るい表情、それのどれもが強い印象を残した。しかも、日本人だけではなく海外のチームや関係者も含めてである。平昌五輪時、「ステイ・ポジティブ」をチームのテーマとして掲げていたことは広く知られるが、そのポジティブな姿勢は今大会でも貫かれていた。
リードの吉田夕梨花、セカンドの鈴木夕湖の強力なスイーパーには数えきれないほど「ナイススイープ!」と言葉がかけられ、「ありがとう!」という感謝の言葉もチーム間で幾度となく飛び交った。うまくいかなかったときも、励ますような言葉や表情を決して絶やさない。それは他の国と比べても抜きん出たスタイルだった。
ただ、それは単に明るいからでも、ナチュラルなわけでもない。イギリスとの決勝戦を終えたあと、サードの吉田知那美は言った。
「苦しい舞台、大変な舞台で苦しそうな顔、辛そうな顔をするのは、誰にでもできると思うんですけれど、(苦しい中)楽しむには、たぶん覚悟がいる」
意識して編み出したポジティブなスタイルであることを示唆している。では、ポジティブであることが何を生み出すのか。やはり吉田が、昨年12月にこう語っていた。
「氷の上で不安に思ったら口に出して言ってみる。1人で抱え込まず、落ち込まず、というのがチームで大事なことだと、この4年間で思いました」