「ロコ・ソラーレはただただカッコよかった」

　決勝で負けた後のコメントを聞いて、銀メダルでも本気で悔しがる藤澤選手の志の高さに胸を打たれました。率直に「彼女たちはもっともっと強くなるな」と思いましたし、やはり「このスキップについていきたい」と思わせるものを持っている選手だと感じました。

　ひょっとしたら、藤澤選手は五輪の金メダルよりも、もっと高いところに目標を設定しているんじゃないでしょうか。勝負を分ける場面で自分たちの思い通りにコントロールできたときの達成感や、チームスポーツならではの喜び。そういった抽象的なカーリングの魅力を人生観のレベルまでしっかりと落とし込んで、アイスの上で表現するという理想を抱いているからこそ、悔しい思いをしてもまた立ち上がることができるんだと思います。

20日の決勝でイギリスに敗れ、藤澤五月は大粒の涙を流した　©Naoya Sanuki/JMPA

　その点で言えば、金メダルを獲得したイギリスのイブ・ミュアヘッド選手も素晴らしかった。彼女が流した涙は、単純な嬉し涙というよりも、平昌五輪で日本に負けてメダルを逃した瞬間からここまでの4年間の思いが凝縮されたもの。つらいことも多かったと思いますが、彼女はそこから逃げずに打ち克つ強さを持っていました。カーリングで天国も地獄も味わってきた選手ですから、本当に感動しましたし、心から祝福したいと思える瞬間でした。

　五輪を重ねるごとに、カーリングという競技そのもののファンが増えているのを感じています。ロコ・ソラーレは見ている人を夢中にさせる魅力的なチームですが、いろんなスタイルのチームがあるのもカーリングの面白さ。和気あいあいとしたチームも、ピリッとした緊張感を持つチームもあるので、ぜひいろんなチームの試合を見て“推し”を作ってほしい。もちろん、実際にプレーしたいという人も大歓迎です。

　あらためて今回のロコ・ソラーレに言葉をかけるなら、「カッコよかった！」のひとことですね。中継を見て「かわいい」という感想を抱いた人も多いかもしれませんが、私からすれば、ただただカッコいい。かわいらしいのは見た目だけで、本当に5人とも強いな、と。私自身も彼女たちの活躍に触発されて、「早く帰って石を投げたい！」と思いました（笑）。

（構成／曹宇鉉）

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