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「アイツはもう役者じゃない」と言われても… 萩原聖人が俳優と麻雀の“二刀流”に挑み続ける理由「競技としての地位を上げたい」
posted2022/02/20 17:04
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph by
Yuki Suenaga
「どこか人生の縮図のような、人間の欲望が詰まったゲーム」
俳優業と並行してプロ雀士としても活動する萩原聖人は、自身を含め多くのプレイヤーを魅了してやまない麻雀というゲームをそう表現した。
「結局、人間は脳に特化した動物なので、考えることが好きなんでしょうね。自分の思い描いたイメージがうまくいけば点棒をもらえて、失敗すればそれを奪われる。1対1ではないところも人生と似ている。中国の人はなんて恐ろしいものを考えたんだ、と思いますよ(笑)」
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麻雀の抗いがたい魅力は、「考え、想像する動物」である人間の根源的な欲望に根ざしたものではないか。熱っぽく持論を語った萩原だが、意外にも、幼少期は麻雀に対してあまりよい印象を抱いていなかったという。
「僕は茅ヶ崎に住む父方の祖母に育てられたんですが、2カ月に1回ほど、東京にいる母の家に遊びに行っていたんです。母と母方の祖母は根っからの麻雀好きで、夜な夜なジャラジャラ、ジャラジャラとやっている(笑)。幼心に『また麻雀やってるよ……』なんてネガティブなイメージがありました。でも結局、僕があまり優良な生徒ではなかった14歳のころに、よくトランプをしていた友達から『麻雀やろうよ』と誘われて。いざやってみたら、もう一気にハマってしまった。そこは母方の血筋なのかもしれません」
俳優として成功を収めてからも、萩原は「麻雀を嫌いになったことは一度もありませんでした。番組に呼ばれれば『面白そうだから出ます』みたいな(笑)」と、たびたびテレビやネットの放送対局に出演。幾度となく鮮やかなアガリを決め、有名プロとも互角に渡り合ったことで、いつしか“芸能界最強”と称されるようになった。
そして2018年、プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の発足を受けて正式にプロ雀士となり、ドラフト1位指名を受けてTEAM雷電に加入。本人の言葉を借りれば、プロ雀士と俳優業の「二足の革靴」を履くことを決断した。
「麻雀ばかりやってないでもっと映画に出てほしい」
90年代にドラマ『若者のすべて』などで一世を風靡した萩原は、その後も崔洋一、黒沢清、侯孝賢、若松節朗、三宅唱といった名だたる監督たちの作品で鮮烈な印象を残してきた。声優やナレーターとしても活躍し“演技派”という評価を確立した一方で、プロ雀士になったことが、俳優としてのキャリアに少なからず影響していることを明かした。