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スキージャンプの疑問「1回目後の取材は必要か?」 小林陵侑がラージヒルで銀メダルも、ミックスゾーンの光景に抱いた“違和感”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2022/02/14 11:03
12日夜のスキージャンプ男子ラージヒル決勝、2回目を飛び終えてグッと拳を握る小林陵侑
「あまり声をかけてほしくない」という選手も
そもそも時間が短く限られている1回目と2回目の間に、取材に時間を割くことを望ましいと選手は思っているだろうか。
また、すぐ目の前にあることに神経を張り巡らせ、思考している途中の選手から、質問して引き出せる話がどれだけあるだろうか。
経験的に考えても、そうして張りつめている選手は競技に神経をすべて向けたいものだし、言葉をかけられること自体をいやがる選手も珍しくはない。それは至極当然でもある。
「応援のつもりというのは分かっていても、『頑張ってね』とか『いい調子だからこのまま次もね』とか、チームなどの関係者じゃないのに、あまりかけてほしくはないです」
そう語った選手もいる。取材者側からミックスゾーンで声をかけられたことへの思いだったが、そこに違和感はなかった。気を遣う選手であれば、集中が途切れて、対応しなければ、とも考えがちだ。だから、答えてくれるから問題ない、不快にも思っていないはず、と理解するのは危険でもある。ある意味、選手の人柄につけこんでいる可能性だってある。何よりも、パフォーマンスに影響する危険もそこにはある。
むろん、この日のラージヒルでの違和感や、あるいは以前に危惧したところは、杞憂に過ぎないかもしれない。
ただ、試合のさなかにある選手は、それくらい神経を張っている。そのことは、肝に銘じておきたい――この日の小林をはじめとする選手たちは、どう感じつつ、対応していたのだろうか……。
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