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「ロコ・ソラーレには“投げにくさ”が皆無」「韓国戦はケミストリー対決に」好発進のカーリング女子を元五輪代表・金村萌絵が解説
posted2022/02/13 17:30
text by
金村萌絵Moe Kanamura
photograph by
JIJI PRESS
4試合を終えて3勝1敗という成績は、間違いなく上出来だと言えるものです。私が事前に予想していた1次リーグの通過ラインは6勝3敗。4敗しても可能性はなくはないのですが、他国との兼ね合いになるため自力での突破は微妙なところです。最初の4試合をこの結果で終えられたことは、後半戦に向けてアドバンテージになってくると思います。
カーリングは国別の世界ランキングに加えてチーム別のランキングがあるのですが、今回出場している10チーム中8チームが世界のトップ11に入っていて、実力は非常に拮抗しています。今回出場しているなかでトップ11ではないチームは、デンマーク代表と中国代表だけ。だからこそ、12日に対戦したデンマークの好調さは予想外でした。
デンマーク戦、ROC戦それぞれのターニングポイント
デンマーク戦を振り返ると、日本もすごく調子がいいわけではありませんでしたが、難しいアイスになんとか対応していました。しかしそれ以上に、デンマークのスキップであるマドレーヌ・デュポン選手の集中力が非常に高く、いいショットを決め続けていた。序盤から先行を許す展開で、後半もチャンスどころかずっと押されているように見えました。
第10エンドに一気に3点をとって逆転したスキップの藤澤五月選手のショットも素晴らしかったですが、注目したいのは4対6とリードされて迎えた第8エンドです。先攻はデンマークで、日本は後攻。しかし相手にスチール(先攻で得点すること)のチャンスを作られてしまい、ラストショット前は1点を取るのも難しい状況に追い込まれていました。
そこで藤澤選手は、相手の黄色いストーンに当ててストーンの角度を変え、中心の赤いストーンを押してナンバー1を作る難しい“アングルショット”を見事に決めました。ここでなんとか1点をもぎとったのが大きかった。もしスチールをされていたら、第9エンドが後攻、第10エンドは先行となっていたので、逆転は難しかったでしょう。
ROC戦も序盤はミスが目立ち、日本にとって苦しい展開となりました。同時に、今大会はROCの調子もあまりよくありません。ストーンを投げる精度は非常に高く、世界屈指のヒッティングチームと称されているのですが、氷の状態に四苦八苦しています。ROCのミスを見ていると、ほとんどすべてが曲がりにくいワイドサイドでのものでした。