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スキージャンプの疑問「1回目後の取材は必要か?」 小林陵侑がラージヒルで銀メダルも、ミックスゾーンの光景に抱いた“違和感”
posted2022/02/14 11:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Naoya Sanuki/JMPA
試合を終えて、「うーん」と考えたあとの言葉は、率直な心情をまっすぐに伝えていた。
「すごくうれしい気持ちと、金メダルを逃したことにちょっと悔しい気持ち」
ただ、「2本とも、よいパフォーマンスができました」。だから、「悔いる」という風情とは無縁だった。
「今日の魔物はリンビク」と笑った小林陵侑
2月12日、ノルディックスキー・男子ジャンプラージヒル。小林陵侑は、ノーマルヒルの金メダルに続き、銀メダルを獲得した。
小林の言葉の通り、142mの最長不倒となった1回目、138mの2回目ともに好ジャンプを見せた。持ち味であるテレマークもしっかり入れ、飛型点もハイスコア。ただ、優勝したマリウス・リンビク(ノルウェー)もよかった。1回目で2位につけ、2回目では140mをマーク。飛型点もまた、高かった。
「今日の魔物は、リンビクだったんじゃないですか(笑)」
笑顔で語ることができたのは、自身のパフォーマンスに納得がいっていたからこそだろう。2本目、着地したときに「(リンビクに)ちょっと届いていないだろうなと思いました」と感じつつガッツポーズが出たのも、手ごたえあるジャンプだったからだ。
ノーマルヒルに続く優勝こそならなかったが、それでも今大会でここまでに成し遂げた成果は色あせることはない。2種目で金、銀メダルを獲得するのは1998年長野五輪の船木和喜以来のこと。
「毎回、世界選手権が合わない感じがあったけれど、オリンピックは相性がいいみたいで」
平昌五輪も、事前の評価以上のジャンプを見せて、ノーマルヒル7位など日本勢で最上の成績を残した。世界選手権ではまだ優勝したことはないが、北京では地力を示した。大舞台での強さをあらためて示した大会でもある。