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スキージャンプの疑問「1回目後の取材は必要か?」 小林陵侑がラージヒルで銀メダルも、ミックスゾーンの光景に抱いた“違和感”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byNaoya Sanuki/JMPA
posted2022/02/14 11:03
12日夜のスキージャンプ男子ラージヒル決勝、2回目を飛び終えてグッと拳を握る小林陵侑
しかも個人種目の間にあった混合団体でも、最長不倒を含め2本ともに大ジャンプを披露し、チームを牽引する役割を果たした。それもまた、小林の大舞台での強さの表れである。
2回目を控えるなか、取材を受ける日本の選手たち
ラージヒルでは小林のほかに佐藤幸椰、小林の兄である小林潤志郎、中村直幹と、出場した4人全員が50人中1回目上位の30名が進める2回目に進み、佐藤は15位、小林潤志郎は24位、中村は29位の成績を残した。14日夜には団体戦を控える。銀メダルの小林を含め、団体戦にもつながる試合となった。
ハイレベルの優勝争いをはじめ、好ジャンプが何本も見られた一方で、どこか違和感のある光景も場内にはあった。1回目を終えた日本の選手たちが、ミックスゾーン(選手が取材を受けるエリア)で立ち止まっていたことだ。テレビカメラも向けられていたから、遠目にも取材を受けていたことは明らかだった。
試合を終えたあとであれば問題はなくても、まだ試合の最中で、1回目と2回目の間が空いているわけではない。例えば、フィギュアスケートはショートプログラムとフリーそれぞれの後に取材に対応する。両方を合わせてひとつの試合ではある。ただ、それぞれ日にちが違うため、ジャンプのような競技の1回目と2回目の間とは意味合いが異なる。
ジャンプは1回目を終えれば、2回目へとすぐに向かう。どのような内容であれ、1回目を振り返りつつ、2回目にどう臨むか、短時間で思考を巡らせるだろう。例えば髙梨沙羅が以前の取材で、「飛び終えたら修正するところを考えつつ、次のジャンプにすぐに向かっています」と語っていた。その言葉が象徴している。