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《GIII東京新聞杯》昨年覇者・カラテの“不安”は「爪の状態」? デビューから低迷し、“障害入りすらできなかった”馬の逆襲
posted2022/02/05 11:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Sankei Shinbun
「薄い感じで正直、凄く印象に残る馬というわけではありませんでした」
今週末の東京新聞杯(GIII)で連覇を狙うカラテ(牡6歳)の第一印象をそう語るのは、美浦で同馬を管理する高橋祥泰調教師だ。
2018年8月にデビューした同馬が初勝利をあげたのは翌19年の2月。デビュー戦、2戦目といずれも15頭立ての13着に敗れた後、惨敗が続いた。7戦目で初めて掲示板に載る5着になると、続く8戦目で待望の1着となった。近2走は532キロで走っているが、新馬戦は476キロ。高橋祥調教師が「薄い体」と評したように、成長途上の体だったのだろう。
デビューから低迷、障害入りすらできなかった
半年以上の歳月を要して待望の初勝利をマークしたカラテだが、これで一気に軌道に乗ったかというと、そうではなかった。2勝目をあげるのに更に10戦。月日にして約1年4カ月、20年の6月の18戦目でようやく2つ目の勝ち星をあげたのだ。
「未勝利戦こそ勝てたもののその後もどうもシャキッとしてきませんでした。昇級後は低迷が続いたので、障害入りさせようと考え、練習をさせました」
幸か不幸かジャンプレースに対するセンスは全くなかった。
「練習でせめて普通に飛べれば障害入りさせたと思います。ところが下手だったので、入障出来ず。平地で続行して使う事になりました」
結果、これが“吉”と出た。先述した通り2勝目をあげるのに18戦を要したカラテだが、それから僅か3戦目には3勝目を記録。しかし、高橋祥調教師は言う。
「2勝目は梅雨時でドボドボの馬場(不良馬場)でした。時計も遅く(1600メートルを1分38秒3)て、こういう馬場が上手いのだと思いました。そして3勝目もまた雨が降って悪い馬場(稍重発表)でした。勝ちはしたけど、正直『スピードはないかな……』という認識でした」
ところがそんな指揮官の見解を覆す走りを次走で披露する。21年1月に出走した若潮S(中山競馬場、芝1600メートル)でカラテは1分32秒9の好時計をマークして連勝したのだ。
「1600メートルにしぼって使うようにしたのも良かったのか、馬の成長曲線に合ったのか。速い時計にも対応出来たので更なる可能性を感じました」