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《GIII東京新聞杯》昨年覇者・カラテの“不安”は「爪の状態」? デビューから低迷し、“障害入りすらできなかった”馬の逆襲 

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平松さとし

平松さとしSatoshi Hiramatsu

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photograph bySankei Shinbun

posted2022/02/05 11:00

《GIII東京新聞杯》昨年覇者・カラテの“不安”は「爪の状態」? デビューから低迷し、“障害入りすらできなかった”馬の逆襲<Number Web> photograph by Sankei Shinbun

昨年の東京新聞杯を制したカラテ

昨年の東京新聞杯で3連勝&重賞初勝利を飾る

 そこでついに重賞に挑戦させた。東京新聞杯(GIII)に出走すると5番人気に支持された。未勝利戦を勝った直後にスプリングS(GII)にこそ走ったものの、デビューから初勝利まで8戦を要し、2勝目をあげるのに18戦かかった馬がとうとう重賞でダークホースとして取り上げられるほどの存在となったのだ。高橋祥調教師は当時を、次のように述懐する。

「レース前、馬は絶好調といえるくらい良い状態でした。坂路の時計も速かったし、動きそのものも良かった。これなら重賞に入っても少しは良い競馬が出来そうという感触がありました」

 前走の準オープン勝ちが54キロだったのに対し重賞のここは56キロ。負担重量が2キロ増える点に不安は抱いていなかったのかを問うと「うーん」と言った後、続けて口を開いた。

「昔と比べ体が大きく増えていたので斤量はこなせると思っていました」

 その考えに誤りはなかった。カラテは前走をしのぐ1分32秒4の好時計で東京のマイルを走破。3連勝で重賞初制覇を決めてみせたのだ。

「菅原明良君も上手に脚をためて乗ってくれました。こういう競馬が出来ればまだまだ楽しめると思いました」

ポイントとなるのは「爪の状態」?

 しかし、好事魔多し。次走に予定していたダービー卿CT(GIII)の直前、爪の状態が悪化し、これを回避。立て直して出走した安田記念(GI)だが、やはり本調子に戻すのは難しかったか13着に敗れてしまった。

「見るからに裂蹄があるというのではないのですが、元々右前脚の爪に熱をもって歩様が乱れる面がありました。レントゲンで蹄骨の角度などを撮っても問題はないので、どうも爪の伸び方のバランスが悪いようです」

 そんな爪のケアをしながら関屋記念(GIII)は2着、京成杯AH(GIII)は5着に敗れた。

「関屋記念の時の調子は悪くありませんでした。ただ、勝ち馬にうまく内をすくわれてしまいました。また、京成杯も状態は決して悪くなかったけど、少し仕掛けが早かったかもしれません」

 その後は富士S(GIII)を目指したがここでまた爪が悪化。歩様が乱れてしまった。

「そこで一旦、放牧に出しました。爪が良くなってから帰厩させて使ったのが前走のニューイヤーSでした」

【次ページ】 東京新聞杯で連覇へ「爪も今のところ問題ない」

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