Number ExBACK NUMBER
「羽生選手と清塚さんの呼吸が一体化している」羽生結弦27歳、“94年ぶりの”五輪3連覇なるか? あの名ピアニストに依頼したプログラム
posted2022/02/04 17:06
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Asami Enomoto
昨年12月の全日本選手権、五輪シーズンの初戦が代表選考のかかる大一番となった羽生結弦は、初披露となったショートプログラム『序奏とロンド・カプリチオーソ』、昨季から継続のフリー『天と地と』で、ともに圧巻の演技を見せて優勝。3度目のオリンピックの舞台への出場を決めた。
最大の注目は、同大会のフリー冒頭に組み込まれた「4回転アクセル」だった。18年の平昌五輪で2連覇を果たした翌日のメダリスト会見で「4回転アクセルを目指したい」と発言したように、この4回転アクセルの成功を最大のモチベーションに羽生は、競技生活を続けてきた。
会場全体が固唾をのんで見守った、初の試合での4回転アクセルへの挑戦。結果は両足着氷、回転不足の判定となったものの、続く演技に影響はなく、その後はパーフェクトと言える内容で滑りきった。本誌で羽生の技術を解説してくれた本田武史氏は言う。
「両足着氷ですが、回転軸が取れていて、彼が目指している4回転アクセルがイメージできました」「北京五輪では思い切って(身体を)締めて、4回転半を回していくのではないかな、と思います」
また、この『天と地と』の編曲を手掛けた音響デザイナーの矢野桂一氏も、昨季からのさらなる進化を本誌にこう語っている。
「昨季の全日本選手権よりも、音がより完全に身体の中に入っているのを感じました。以前より自然に身体が動いているようで力が抜けたぶん、より進化を感じました」「驚いたのは、4回転アクセルでさえも曲に溶け込んでいたことです。彼の中で、音のタイミングに何度も合わせて練習していたのでしょう」
前人未到の大技の成功、そしてフィギュアスケート史上94年ぶりとなる五輪3連覇の実現は、今回の北京五輪でも最大の挑戦といえるものだ。
「羽生選手と清塚さんの呼吸が一体化している」
一方で、羽生は先にふれた12月の全日本選手権のショートプログラム『序奏とロンド・カプリチオーソ』でも、もう一つの大きな挑戦とその成果を見せてくれている。