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珍名馬で話題…『進撃の巨人』を愛する“オニャンコポン”の馬主が明かす、名前に込めた“本当の意味”「お気に入りのキャラクターです」
text by
曹宇鉉Uhyon Cho
photograph byPhotostud
posted2022/02/04 17:02
2022年1月16日の京成杯を制したオニャンコポン
固定観念を揺さぶった、小田切オーナーの「カゼニフカレテ」
競馬の歴史を振り返ってみれば、“珍名”と称される馬はあまた存在する。多くのサラブレッドの祖先にあたる18世紀のイギリスの名馬・ポテイトーズ(Potooooooooでポテイトーズと読む)はそのはしりと言えるだろうし、つい昨年も大井競馬に所属する「スモモモモモモモモ」が初勝利をあげて注目を集めた。
こと個性的な馬名のつけ方に関して、日本の競馬界で絶大な存在感を放ってきたのが、高松宮記念を制したオレハマッテルゼをはじめ多くの重賞馬の馬主として知られる小田切有一氏だ。オニャンコポンの田原氏も、小田切氏から少なからず影響を受けたという。
「ご本人とは名刺交換をさせていただいたくらいの関係なのですが、小田切オーナーの馬は『世間で言われるほど“珍名”ではないのではないか』という思いは以前から抱いていました。オレハマッテルゼはもちろん、その全姉のエガオヲミセテも、とても素敵な馬名だと思いませんか?」
かつては田原氏も「カタカナ表記である以上、横文字の言葉のほうがしっくりくるのでは」と考えていた。しかしその固定観念を揺さぶったのが、馬主になる以前の2001年、自身が出資していたクラブの馬と新馬戦で対戦した小田切氏の所有馬・カゼニフカレテ(のちに2003年の愛知杯を制覇)だった。
「一読して情景が目に浮かぶ、素晴らしい馬名だと思いました。レースでは私の出資馬が3着で、カゼニフカレテが1着。負けはしましたが、じつに清々しい気持ちでしたね」
オニャンコポンは馬主引退をかけた“最後の一頭”だった
以来、日本語のニュアンスを活かした馬名をつける機会を窺いながらも、「横文字の馬名ばかり浮かんでいた」という田原氏。だが近年は馬主としての成績がふるわず、引退をかけた総決算のつもりで「オニャンコポン」と命名することに決めた。
「もう5年くらいレースに勝てず、このまま馬主を続けるのはどうなのかと悩んでいました。オニャンコポンは『この子でダメだったら馬主をやめよう』というつもりで購入した馬です。多くの馬を所有している馬主さんとは立場が異なりますし、これで馬主生活が終わるかもしれない局面だったので、命名にあたっては“全集中”しました(笑)」