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《センバツ不可解選考》が高校球界に落とした暗い影…複数投手で東海準優勝→落選では「何のための球数制限だったのか?」
posted2022/02/01 17:04
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
KYODO
おそらく、日本高野連や選考委員会はこの決定がもたらす先の意味まで考えていなかったのではないか。
3月18日に開幕する選抜高校野球大会に出場する32校が発表された。
今年、物議を醸したのは東海地区の2校目の選出だった。昨秋の東海大会で準優勝した聖隷クリストファーが落選。準決勝で敗退した大垣日大が選出されたのだ。
両者はともに、優勝した日大三島と対戦。その試合内容を比較しても聖隷クリストファーに分があったように思われたが、大垣日大が選ばれたのだった。
センバツ選考問題で考えるべき“論点”
東海地区の鬼嶋一司選考委員長いわく「投打の実力では大垣日大が上回った」かららしい。
身もふたもない話になるが、個人的な意見として、選抜の出場校は選考委員会が自らの基準に沿って自由に選べばいいと思っている。どんな理由づけをしたところで、世の中の人物全員を納得させられる選考理由など存在しない。
どちらかに寄った意見になれば反対側は異論を口にするもので、今、世間で騒がれている「選考理由を明確にしろ」というテレビコメンテーターのコメントは何の意味もなさない。選考とはそういうものだ。
ここで問題にしなければいけないのは、聖隷クリストファーがどのようなチーム事情でこの東海大会を戦っていたか。そして、そのチームが評価されなかった事実がこれからの高校野球界にどれほど影響を与えるかである。
エース離脱→チームで戦い決勝進出も…
聖隷クリストファーは、秋季東海大会1回戦を終えた後、エース・弓達寛之投手が怪我のため、投げられなくなっていた。