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坂本勇人は今年34歳、菅野智之も33歳に…巨人・原監督がオーナーの要求「“若手育成”と“日本一”の両立」を実現するための《2つの条件》
posted2022/01/28 17:05
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Nanae Suzuki(L),Hideki Sugiyama(R)
「新しいジャイアンツを作りながら、ペナントを奪回していく。最後は日本一を奪回していく1年になる。勝ちながら育てるのは極めて難しい仕事ですが、その役目を原監督に託しました」
1月21日に都内のホテルで行われた巨人のスタッフ会議。終了後に取材に応じた山口寿一オーナーが2年ぶりのリーグ優勝と2012年以来の日本一奪回と共に、若手育成を原辰徳監督に求めたことを明らかにした。
誰もが感じていることだが、いまの巨人から5年後のチームに光を見出すことはなかなか困難だ。
ここ数年、大黒柱として中心を担ってきた坂本勇人内野手が今年で34歳になる。投手陣を見回せば、エース・菅野智之投手も今年で33歳である。
野手では25歳の岡本和真内野手の存在が救いだが、その岡本に続く中軸候補がなかなか見えてこない。投手陣を見回しても、ポスト・菅野と期待される戸郷翔征投手に左のエース候補の高橋優貴投手と20代前半の若手がいるが、もう1つ、殻を破り切れていないのも現実である。
「若手育成」と「勝利」は二律背反する
「今年は若い力をいかに発掘し、レギュラーとして戦わせることができるかがテーマ」
オーナー指令に答えて原監督も、こう若手抜擢をぶち上げている。
しかし現実は厳しい。若手育成と勝利の両立を唱えることは簡単だが、実際問題は、ほぼ確実にこの2つのテーマは二律背反するからだ。
だからメジャーリーグでは割り切る。選手の年俸が高騰すればチームを1度解体し、高額年俸の選手を惜しげもなくトレードに出す。その上で年俸の安いマイナーの有力若手選手を獲得、3年計画くらいで再構築の道を選択する。このスクラップ&ビルドの期間は、ほぼほぼ優勝の可能性は無くなるが、3年後かさらに時間がかかって5年後に、優勝を狙えるようなチーム作りを目指すわけだ。
「育成」や「チーム再建」を考えれば、どうしてもある程度「勝利」には目を瞑らなければならない。だからこそ現実的なチーム作り、チーム運営を考えたら、どちらに軸足を置いてチームを前に進めていくか、だ。そこがしっかり定められて、初めてこの2つの命題へのアプローチの仕方が定まってくる。
そこで巨人である。