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坂本勇人は今年34歳、菅野智之も33歳に…巨人・原監督がオーナーの要求「“若手育成”と“日本一”の両立」を実現するための《2つの条件》
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNanae Suzuki(L),Hideki Sugiyama(R)
posted2022/01/28 17:05
ベテランの域に差し掛かった菅野(左)や坂本
新たに3年契約を結んだ原監督にとって、3年目の契約最終年に優勝と日本一を達成すればいいので若手育成を優先して欲しい、となればこれは非常にアプローチがしやすいだろう。しかし、やはり今年も(今年こそ)優勝して、日本一という前提がある。その中で若い選手を育てるのだから、ファーストミッションはやはり「勝つこと」となるはずだ。
その中で尚且つ、若手を育成するためには、どうしても2つの条件が必要になる。
1つは当たり前だが、使われた選手がしっかり結果を残すことだ。
例えば岡本和真内野手のケースは、プロ4年目の2018年に高橋由伸監督の下でブレークし、その後の巨人の主砲への道を歩んだ。
2018年、プロ4年目の岡本はしっかり結果を残した
もちろん高橋監督が抜擢し、調子が落ちた時期も我慢して使い続けたことが開花への1つのきっかけだったのは言うまでもない。ただ、18年に監督に開幕から継続して使い続ける決断をさせたのは、本人がしっかり結果を残したからだった。
実は前年の17年も、高橋監督はキャンプ、オープン戦から岡本の起用に積極的で、出場機会を増やすために外野にコンバート。開幕戦は「7番・左翼」でスタメン起用している。
ただ岡本は開幕戦で初安打を放ったものの、その後は結果が残せず5試合目でスタメンを外れる。再び先発復帰した4月7日の阪神戦で2安打2打点を記録したが、長続きしないままに再び11日の広島戦で先発を外れると、19日のヤクルト戦の代打出場を最後に二軍落ち。その後はシーズン終盤の9月まで一軍に呼ばれることはなかった。
「我慢して使い続けなければ、選手は育たない」
これでも高橋監督は、我慢して使い続けた方かもしれない。だとしても岡本に与えられたのは12試合(先発は8試合)26打席にしか過ぎなかった。
これは勝ちながら育てるというテーマを抱えるチームの永遠の命題である。
「我慢して使い続けなければ、選手は育たない」
特に若手野手の起用を巡ってよく聞く言葉だ。
若い選手を我慢して使い続けるのはいい。しかし大事な場面でその若手が結果を残せずに、チームが負ける。その1つの敗戦、その黒星の積み重ねは「勝つ」というミッションには大きな痛手となる。