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「『箱根駅伝をやってきたからです』と答えられる大人になりたい」“3区職人”遠藤大地はなぜ実業団ではなく就職を選んだのか? 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byJIJI PRESS

posted2022/01/27 11:05

「『箱根駅伝をやってきたからです』と答えられる大人になりたい」“3区職人”遠藤大地はなぜ実業団ではなく就職を選んだのか?<Number Web> photograph by JIJI PRESS

4年連続で箱根駅伝の3区を走った帝京大の遠藤大地。大学ランナーの実力者はなぜ実業団ではなく就職を選んだのか?

「古川工業高に入ったのも、災害復興に携わりたいなと思ったからでした。就職活動をした時にも、そういったことに関われる仕事がいいなと思って、この道を選びました。地元に限らず、大変な災害が起こった時に、復旧に携わりたいなという思いを持っています」

 第一線を退くことを決めた大学ラストイヤーは、最後の箱根駅伝に向けて、例年以上に練習に打ち込んだ。

箱根ラストラン「過去3年間と比べても、一番状態は良かった」

 昨年度はコロナ禍の自主練習期間で練習量が落ち込み調子を落としたが、今年度は春先から走り込み、トラックシーズンの6月に月間走行距離が1000kmを超えたこともあった。

「最後は、結局、少しは後悔することがあると思うんですけど、その後悔ができるだけ少なくなるような1年にしたいと思っています。日々の練習も、大会も、全部が最後になります。その1つ1つを大切にして、最後は『やりきった』という思いで終われるような1年にしたいと思っています」

 最後と決意したからこそ、モチベーションも高かった。そして、駅伝シーズンをまずまずの状態で迎え、箱根駅伝に向けて徐々に調子を上げていった。

「手応えのある状態で臨めたと思います。過去3年間と比べても、一番状態は良かった」

「絶対に食ってやろうと思っていたんですけど…」

 最後の箱根は、2区に急遽抜擢された中村風馬の好走もあって、5番目でタスキを受けた。前を走るのは4チーム。先頭とは1分29秒の差があった。

「予想していたよりもすごく良い位置でタスキを持ってきてくれたので、自分のところでトップに立たなきゃなと思ってスタートしました」

 スタートからアクセル全開。序盤でさっそく1人を抜いた。3区の前半は下り基調だが、最初の5kmを「13分55秒ぐらい」と突っ込んだ。日本人最高タイムを出した2年前よりも「ちょっと速かったかな」と言う。10kmは「28分ちょうどぐらい」。この時点では、27分台で通過した2年前の記録に少し遅れをとった。

 それでも、前を走る3校にはなかなか届かなかった。

「前半は近くに見えていました。後半落ちてきたら、絶対に食ってやろうと思っていたんですけど、前も力のある選手なので、やっぱり速かったですね」

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遠藤大地
齋康浩
中野孝行
帝京大学

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