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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「『箱根駅伝をやってきたからです』と答えられる大人になりたい」“3区職人”遠藤大地はなぜ実業団ではなく就職を選んだのか?
posted2022/01/27 11:05
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
JIJI PRESS
「大学まで競技を続けた理由が“箱根駅伝を走りたい”という思いがあったからでした。箱根があったから、4年間努力することができた。
声をかけてくださった実業団のチームもありましたが、大学卒業後も競技に取り組んで何を目標にするべきかと考えた時に、箱根駅伝以上のものがないなっていう考えになったんです。そもそも、箱根の先のことまで考えていませんでしたから。そんな中途半端な気持ちで競技を続けるんだったら、大学で競技を終えて、新しい道で頑張りたいと思いました」
遠藤の決意は固かった。
ヴィンセントの衝撃「全然違う世界にいる感じでした」
1、2年の頃は実業団に進む道も考えていたというので、さんざん悩んだ上での選択だったのだろう。今振り返ると、3年生に上がった頃にはすでに発言の中に「競技を続けない」ことを匂わせていた。箱根で東京国際大のイェゴン・ヴィンセントに抜かれた場面を振り返ってもらった時のことだ。
「頭1つ2つ、全然違う世界にいる感じでした。オリンピックとか世界を狙うとなると、そういう選手と、もっと強い選手とも戦っていかないといけないのかって思うと、すごい世界だなと思いました」
どこか他人事のように聞こえたので、自身が世界で戦っている姿を想像した上での発言なのかを聞くと、その時にも「オリンピックなどは特に意識していないです」ときっぱり言い切っていた。
小学5年生で震災を経験「復興に携わりたい」
就職を選択したのには、もう1つの理由がある。遠藤が就職するのは、建設現場や工事現場などの重機をリースする会社。その志望動機には、2011年の東日本大震災の経験があった。
宮城県大崎市出身の遠藤は小学5年生の時に震災を経験した。実家は内陸部にあり、大きな被害を受けたわけではなかったが、沿岸部から避難してきた人も多く、そういった方々の話を聞く機会もあり、震災を身近に感じていた。