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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
《グルグルFKに南米もビックリ》ブラジルの人気スポーツ番組が選手権を特集!?「伝統とイノベーションが織りなす大会」「奇妙だが愉快」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto
posted2022/01/10 17:02
年末年始の定番である高校サッカー選手権。ブラジルの人気フットボール番組でも高川学園の「トルメンタ」が取り上げられている
世界中のファンのほとんどがこのプレーのことを知らず、それゆえ高川学園のトルメンタが大きく取り上げられたのだろう。
それでは、今後、このプレーは日本や世界の強豪国のクラブや代表でも使われる可能性はあるのだろうか。
セットプレーにおける守備の方法には、マンツーマン、ゾーン、両者の併用の3種類がある。トルメンタを発動されるとマンツーマンでは守りにくくなるが、それならゾーンに切り替えればいい。また、攻撃側にも5、6人でグルグル回ると輪を解き放った時点の位置によって出遅れる選手が出てくるという欠点がある。
初めてやったときは相手が驚くだろうから、ある程度の効果があるかもしれない。しかし、2回目以降は相手が対策を練るはずで、効果は薄くなるのではないか。
日本では「こんな小賢しいトリックプレーなどやらないで、正々堂々とプレーするべきだ」という批判が一部にあるかもしれない。しかし、フットボールには良くも悪くも騙し合いの要素がある。日本以外の国では、否定的な意見や批判はほとんどないようだ。
スポーツはエンターテインメントであるからこそ
2022年W杯アジア最終予選を戦っている日本代表に対し、「試合内容がつまらない」、「ワクワクするものがない」と不平を鳴らすファンが少なくない。ここまでの6試合で4勝2敗、得点5、失点3。順位はB組の6カ国中2位で、このままならW杯には辛うじて出場できる。しかし、世界ランキング35位(オーストラリア)から98位(ベトナム)の5カ国を相手に1試合平均0.83点しか取れないチームをファンが不満に思うのは当然だろう。
ファンは、結果だけを望んでいるのではない。スポーツはエンターテインメントであり、プロならファンを楽しませ、なおかつ勝つことが求められる。
第100回大会は青森山田の優勝で幕を閉じたが――高川学園をはじめとする日本の高校のチームは、アマチュアでありながらファンを存分に楽しませ、加えて世界中に日本発のポジティブな話題を提供している。
日本代表は、高校のチームから学ぶべき点があるのではないだろうか。
<人気サッカーマンガ家が描いた「エモい選手権」編に続く>
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