- #1
- #2
高校サッカーPRESSBACK NUMBER
サッカー漫画家(超弱小校出身)が描く「選手権ヒーロー」 小嶺監督に川口能活や小笠原満男、“セクシー乾と半端ない大迫”のエモさ
posted2022/01/10 17:03
text by
千田純生JUNSEI CHIDA
photograph by
Kiichi Matsumoto/Junsei Chida(illustration)
(1)GKとしてのヒーローは川口能活だった
僕自身、部活でGKをやってきたという立場もあって……サッカー選手としての最初のヒーローであり、教科書だったのは川口能活選手でした。
静岡の名門である清水商(現・清水桜が丘)で1年生時から正守護神を任されていましたが、何より記憶に強いのは3年生時の輝きでした。当時のチームを調べてみると、田中誠、佐藤由紀彦、安永聡太郎と後にプロへと進むプレーヤーが数多くいる中で主将を務めて、選手権では予選から決勝まで、11試合連続無失点をマーク……。アトランタ五輪ブラジル戦や2004年アジア杯のPK戦で見せた“鬼神モード”は、選手権の頃からだったんだなあと思います。
何より弱小校だった僕にとっては雲の上どころか宇宙の上のような存在で(笑)、なによりそのルックスのカッコよさにも心奪われました。
当時GKと言うと『キャプテン翼』の若林君と若島津君のイメージが強かったですが、現実の世界でついに川口選手のような選手が出てきたのか、と思いました。実際、こうイラストにしても本当に絵になるプレーヤーなんです。同じGKとしては、あのアグレッシブな前への飛び出しを参考にしてました。
その後、プロ入り後は1学年下の楢崎正剛選手とのライバル(友情)物語も存在したのもアツかったですしね。
今でも記憶に残っているのは、3年時の選手権決勝の国見戦でのこと。国見のロングスローがフリーの相手選手に向けて飛んでいったんですが、それを予測した川口が背後から頭越しにキャッチしてピンチを防いだ。その勇敢さを含めて、まさにヒーローでした。
小笠原満男を育てた名将の情熱
(2)小笠原満男・盛岡商……ふるさと岩手勢の躍動は心に響く
選手権は全国47都道府県から代表校が選出され、覇権を争います。夏の甲子園もそうなのでしょうが、やはり我がふるさとの活躍は、心打たれるものがありますよね。僕は岩手出身ということもあって、心に残っているのは小笠原満男選手と盛岡商などの地元勢の活躍です。
いわゆる「黄金世代」が数多く出場した第76回大会、僕は岩手・大船渡の絶対エースである小笠原に衝撃を受けたんです。