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《グルグルFKに南米もビックリ》ブラジルの人気スポーツ番組が選手権を特集!?「伝統とイノベーションが織りなす大会」「奇妙だが愉快」

posted2022/01/10 17:02

 
《グルグルFKに南米もビックリ》ブラジルの人気スポーツ番組が選手権を特集!?「伝統とイノベーションが織りなす大会」「奇妙だが愉快」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

年末年始の定番である高校サッカー選手権。ブラジルの人気フットボール番組でも高川学園の「トルメンタ」が取り上げられている

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Kiichi Matsumoto

 ブラジルのTVグローボが日曜を除く毎日、午後1時から25分間放送する「グローボ・エスポルチ」は、国内で知らぬ者がない人気スポーツ番組だ。

 1月8日、この番組が3分余りにわたって日本の全国高校サッカー選手権を特集した。

「今年の“コピーニャ”(ブラジルの若手の登竜門コパ・サンパウロの俗称)で、ゴールを決めた選手が大喜びで踊り、足を痛めて交代した」というニュースを伝えた後、「日本の“コピーニャ”では、こんな間抜けなことは起こらない。かの国の少年たちは、奇想天外なトリックプレーをやってのける」として、以下の3つの例を挙げた。

1)高川学園が敵陣右サイドでFKのチャンスをつかむと、5選手がシランダ・シランジーニャ(人々が手をつなぎ、輪になって踊る子供の遊びを、ブラジルではこう呼ぶ)を踊った。相手チームの選手たちを大いに驚かせ、半狂乱に陥れると、鮮やかなヘディングシュートを決めた。

2)流通経済大柏の選手が、PKの際、走り出すまでだけで34秒もかけて相手GKの忍耐力を試した。それからも小刻みに足踏みをしたり飛び上がったりして相手GKが眠気に襲われたのを確認すると、難なくゴールを決めた(BGMとして、スローテンポの琴の音が流れた)。

3)2016年には、東福岡がFKの際、敵の壁の前に自分たちも小さな壁を作った。この壁が4歩後ずさりしてから突然飛びのくと、左隅に見事なキックを叩き込んだ。

特集の締めは日本語で「ありがとうございます」

 ナレーターは、この大会が1917年から行なわれており、天皇杯よりも歴史があること、地上波で生中継され、視聴率はJリーグの試合を上回ることなどを説明。「伝統とイノベーションが織りなす大会なのです」と結論付け、「ありがとうございます」という日本語で特集を締めた。

 この番組の以前にも、12月29日に高川学園が1回戦(対星稜)で「トルメンタ」(スペイン語で「嵐」を意味する)を発動させてゴールを決めると、即日、スポーツ紙「ランセ!」、日刊紙「フォーリャ・デ・サンパウロ」や「オ・グローボ」など多くの有力メディアが「革命的なトリックプレー」、「奇妙だが愉快」、「見ていて非常に楽しい」なとど好意的に伝えていた。

 アルゼンチンのスポーツ紙「オレ」も、「トルベリーノ(つむじ風)に似た不思議なプレーが、世界中で大きな反響を呼んでいる」と報道した。

【次ページ】 日本人が想像している以上に、このプレーの反響は大きい

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