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ラグビーPRESSBACK NUMBER
「リーグワン」から「世界」へ…“2mロック”ディアンズ・ワーナー(19)と“高卒プロの先駆け”福井翔大(22)の現在地
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byNobuhiko Otomo
posted2022/01/07 17:01
日本代表にも名を連ねるワーナー・ディアンズと福井翔大。若き才能がリーグワンでどんな成長を見せるか注目したい
前半のワーナーのプレーはどう見ていましたか? と聞いた。福井は苦笑して「一歩先に行かれちゃいました。どうもこうもないです」と言った。この日のパフォーマンスに限って言えば、チームの軸と呼べそうなほど存在感を放ったワーナーに対し、福井のパフォーマンスは影が薄かった。
「悔しい思いはあるけど、全部、これがあって今があると思えるような経験にしたいです」
そう話す福井に、同席していた坂手主将がすくいの手をさしのべる。
「今の翔大はいろいろなことを考えて、考えすぎてしまっているときだと思います。能力はあるので、きっと良くなる」
その一方で突っ込みも入れる。
「ミス2連発したときの顔、すごかったですよ。写真に撮って(ネットに)上げたかったくらい。だけど、試合中に謝ってばかりいたのには腹立ちましたね。ミスしたときこそ次に切り替えていけるようになれば、中心選手になっていける」
福井には若さという武器があるが、いつまでも若手という下駄をはかせてもらえるわけではない。来年の4月になれば、大学へ行った同級生たちがリーグワンの戦いに参戦してくる。その前に、4年間をワイルドナイツで過ごしたアドバンテージを証明しておきたいところだが……。
「頑張ろうとしすぎると、今日みたいなミスをしてしまうので、落ち着いてやりたいです。このレベルで4年間やってきたという自信を持って、威厳を持っていきたい」
リーチが語った2人の印象は?
昨季のトップリーグは(コロナ下による日程変更があった結果だが)リーグ戦7試合、プレーオフが最大4試合、合計でも最大11試合という短期決戦だった。リーグワン初年度は、リーグ戦16試合とプレーオフ2試合、優勝するには18試合を戦い抜かなければならない。これまで以上に各チームには層の厚さが求められるが、それだけではない。試合数が多いということは、学びの機会、成長するチャンスもそれだけ多い。
すでに日本代表入りを果たしたワーナーと福井も、ここでさらに成長した姿をみせて初めて、再び代表に呼ばれる資格を得るのだ。
松島幸太朗はフランスリーグ1年目の戦いを終えて「年間27試合やりました。こんなに試合をしたのは初めて」と振り返ったが、トップグレードでそれだけの試合数が組まれているからこそ、フランスはじめ海外では20歳前後の才能が次々と世界の舞台に上がってくる。
年末の12月30日、リーグワン開幕に向けたリーチ マイケルの合同インタビューが開かれた。ワーナーと福井について聞かれ、自身も20歳から日本代表キャリアを重ねてきたリーチは答えた。
「ワーナーはもともとポテンシャルが高くて、僕に言わせたら、去年から出してほしかったくらいです。身長2mのロックは日本にはいない。しかも、今回もサントリー(サンゴリアス)やパナソニック(ワイルドナイツ)とのプレシーズンマッチに先発して、フツーにやって大活躍している。彼のこれからの成長に注目してほしい」
「福井とは、日本代表の欧州遠征でずっと一緒にトレーニングしていました。毎朝100回腕立て伏せしたり、10分間の体幹トレーニングをしたり、首のトレーニングをしたり。僕と体が似ていて、ウェートが弱いんです(笑)。だから一緒に鍛えてました。この間の試合でもいいプレーをしていたし、リーグワンで対戦できるのを楽しみにしています」
トップ選手同士が激しく体をぶつけあい、プレッシャーをかけあい、タフな時間を重ねる――その舞台が、若き才能をどのように成長させるか。
リーグワン開幕戦は、ワイルドナイツに新型コロナ感染者が出たため棄権となったが、リーグ自体のスケジュールに変更はない(7日現在)。戦いは始まる。その先には、世界への挑戦が待っている。