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ラグビーPRESSBACK NUMBER
「リーグワン」から「世界」へ…“2mロック”ディアンズ・ワーナー(19)と“高卒プロの先駆け”福井翔大(22)の現在地
posted2022/01/07 17:01
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph by
Nobuhiko Otomo
暮れも押し迫った12月25日、熊谷ラグビー場では「リーグワン」開幕に向けたプレシーズンマッチ、埼玉ワイルドナイツと東芝ブレイブルーパス東京の試合が行われていた。
1980年代は東日本リーグの優勝を、全国社会人大会の優勝を争い、2000年代に入ってからはトップリーグの優勝を争った三洋電機と東芝府中にルーツを持つ、日本ラグビーの歴史を彩ってきたライバル同士の激突。過去の名勝負をあげればキリがない。
だがこの日行われていたのは、新たなスタートへ向けたウォームアップゲーム。両チームには、未来に希望を持たせる選手が出場していた。
ブレイブルーパスの背番号4、左ロックで先発したのはチーム最年少の19歳、ワーナー・ディアンズだった。2021年の元日は流通経大柏高の3年生No.8として花園ラグビー場を駆けていた。それから1年の間に、若者はブレイブルーパスというシニアチームに飛び込み、トレーニングを重ね、日本代表にも名を連ね、欧州遠征ではポルトガル戦で初キャップも得た。だが、日本のファンの前でパフォーマンスを見せる機会はなかなかなかった。ポルトガル戦は衛星中継されたものの、出場は試合終盤のわずか4分。
筆者自身、ワーナーのプレーを直に目にするのはほぼ1年前の花園以来だった。はたして、どんなプレーを見せてくれるだろうか……。
何年もチームにいるような落ち着き
試合が始まった。ワイルドナイツのキックオフ。放物線が地面に届くよりもはるかに高いところに腕は伸びた。最新の測定で「201.7cm」の長身と長い腕を持つワーナーが高々と跳び上がってボールを掴む。異次元の高さだ。
試合が続く。プレシーズンマッチとあって互いにスペシャルプレーは封印。キックを蹴って相手に攻めさせ、自軍のディフェンスを確認することに主眼が置かれたようだ。こうなると試合の焦点はコンタクト局面、フィジカルバトルになる。
そして19歳のロックは、その戦場で予想以上のたくましさを披露した。ディフェンスでは各国代表が並ぶワイルドナイツFWにひるむことなくタックルに突き刺さり、一歩も下がらず、そこから逞しいレッグドライブで相手を押し返してみせた。
前半40分間はワイルドナイツが14-5とリードして終えた。そしてワーナーはベンチに下がった。試合後、ワーナーに聞く。
「自陣でディフェンスする時間が長かったけれど、チーム的にはいい感じだった。ちゃんとラインを守ってタックルできていた。チーム全員がコネクションを守ってディフェンスできていました」とワーナーは振り返った。もう何年もチームにいる中心選手のような口ぶりだ。