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南野拓実「What a night!」な劇的弾を転機に… 苦悩の前半戦から《リバプールで真の主力》へ連係を成熟させたいキーマンは誰? 

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田嶋コウスケ

田嶋コウスケKosuke Tajima

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photograph byNaomi Baker/Getty Images

posted2021/12/29 11:10

南野拓実「What a night!」な劇的弾を転機に… 苦悩の前半戦から《リバプールで真の主力》へ連係を成熟させたいキーマンは誰?<Number Web> photograph by Naomi Baker/Getty Images

リバプールでは「貴重なバックアッパー」としての地位を確立した南野拓実。2022年は日本代表、最強クラブでも個の力を放ってほしい

 特に試合終了間際の劇的な同点ゴールは、ストライカーとして周囲の信頼を高める点で、その価値は極めて大きいだろう。これまではチームが追いかける展開になっても、南野はベンチを温め続ける試合が圧倒的に多かったが、ユルゲン・クロップ監督が今後の起用法を再考するきっかけとなるに違いない。

 また、先発を任されているリーグ杯で3戦連続ゴールを記録し、チームを準決勝に導いた点も高く評価できる。限られた出場機会の中で、最大限のアピールをした。準々決勝レスター戦は、そんな位置づけとなった。

レギュラー陣の壁に改めて苦しんだ前半戦だった

 しかし、今シーズンのここまでを振り返ると、レギュラー陣の壁に改めて苦しんだ前半戦であり、我慢の時間でもあった。

 前線3トップのレギュラーは、絶好調モハメド・サラーを筆頭に、サディオ・マネとディオゴ・ジョタの3人。フィルミーノでさえ、怪我の影響で復帰後も控えにまわる試合が多かった。

 南野にいたっては、18節まで国内リーグ戦で先発が一度もなく、ベンチから途中交代でピッチに入ったのはわずか6回。大腿部の軽症で欠場したリーズ戦(4節)を除けば、ベンチで試合終了のホイッスルを聞いたのは11試合にのぼった。得点は、冨安健洋との日本人対決で注目を集めたアーセナル戦での1ゴールだけだ。

 チャンピオンズリーグでも控え扱いが続いた。グループステージ4節までベンチスタートが続き、その内の2試合で途中交代でピッチに立った。チームがグループステージ突破を決めて消化試合となった5節以降は、2試合連続で先発出場を果たした。一方、クラブとして優先順位の落ちるリーグ杯では3試合連続で先発し、4ゴールと結果を残している。

 ここまでの公式戦ゴール記録は5。シーズンの折り返し地点となる現時点で、公式戦での先発数は5試合しかなく、「世界最高峰」のリバプールの中で、もがき苦しんだ前半戦であった。

出場履歴を見ると風向きは少し変わってきている

 ただ、出場履歴を細かく見ていくと風向きが少しずつ変わり始めているのが分かる。シーズン開幕当初は、怪我の影響もあり南野の出番は極めて少なかったが、10月下旬から途中出場での出番が増え、8試合連続出場を果たした。

 実際、ドイツ人指揮官は10月27日に行われたリーグ杯4回戦のプレストン戦後、「タキ(南野)は本当に調子がいい。彼に問題はない。他のアタッカーたちが好調で、さらに怪我もしていない。それだけが問題なんだ」とし、南野のコンディションよりもチームの選手達が好調であることが起用法に影響していると説明している。

 では、シーズン後半戦はどのように推移していくだろうか。

【次ページ】 現地での南野の序列は“二分化”している

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