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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
南野拓実「What a night!」な劇的弾を転機に… 苦悩の前半戦から《リバプールで真の主力》へ連係を成熟させたいキーマンは誰?
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byNaomi Baker/Getty Images
posted2021/12/29 11:10
リバプールでは「貴重なバックアッパー」としての地位を確立した南野拓実。2022年は日本代表、最強クラブでも個の力を放ってほしい
現地での南野の序列は“二分化”している
転機になりうるのは、1月8日からカメルーンで行われるアフリカ選手権だ。エジプト代表FWサラー、セネガル代表FWマネ、ギニア代表MFナビ・ケイタの3人が最大で約1カ月離脱するだけに、当然、南野の出場チャンスも広がるが、イングランドの識者たちはどのように見ているか。元イングランド代表GKデビッド・ジェームズ氏は次のように話した。
「レスター戦での南野のゴールは見事だった。PKを外した時は『あぁ、今度PK戦があれば、彼に任せることはないだろうな』と思ってしまったが、とにかく南野は素晴らしいゴールを決めた。ユルゲン(・クロップ)の期待に応えた意義は大きい。
1月のアフリカ選手権時に出番が増えるか? 当然そうなるだろう。出場機会を与えられれば、南野はここまでトップパフォーマンスを見せている。レスター戦のプレーを見ても、ユルゲンは南野についてさほど心配はしていないと思う。ここで活躍すれば、ユルゲンもアフリカ選手権後にチーム編成で頭を悩ますのではないか」
他方、英紙サンデー・タイムズでサッカー部門の主筆を務めるジョナサン・ノースクロフト記者は厳しい見解を述べる。「アフリカ選手権の大会中は、南野の出番も増える」としながらも、大会後の序列はさほど変わらないと予想する。
「リバプールは、前線のメンバーが極めて強力だ。南野の調子が上がっているのは事実だが、現状ではサラー、マネ、ジョタ、フィルミーノの4人の立ち位置は揺らがない。南野はおそらく控え扱いのままで、カップ戦で先発のチャンスが回ってくるはずだ。ディボック・オリギやジェルダン・シャキリ(現リヨン)がレギュラー陣の壁に苦しんだように、後半戦も序列は変わらないと思う」
レスター戦でのプレーに飛躍の鍵があるワケ
筆者の目には、レスター戦のプレーに飛躍の鍵が隠されているような気がした。
レスター戦がそうであったように、ファイナルサードに入れば、ボールロストを恐れることなく積極的に仕掛けたい。横パスやバックパスでボールロストを回避するのも時に大事だが、リスクを取って危険なプレーを示さないことにはチャンスは生まれない。
また、フィルミーノとの同時プレーも大きなポイントになりそうだ。アフリカ選手権時の3トップはフィルミーノとジョタを軸に、残りの1枠を南野とオリギで争われることになるが、南野としてはフィルミーノとの相性の良さを最大限に生かしたい。
果たして、シーズン後半戦はどのように展開していくか。ひとつだけ間違いないのは、アフリカ選手権が行われる1月が大きな分岐点になること。南野にとって、ここから1カ月が勝負所である。
<遠藤航編に続く>