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「毎年このレースが近づいてくると…」朝日杯FS“22回目の挑戦”で武豊(52)が悲願達成 “3番人気”だったドウデュースはなぜ勝てたのか?
posted2021/12/20 12:05
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Keiji Ishikawa
競馬界のレジェンドが、前人未到の高みへとさらに近づいた。
無敗馬6頭を含む15頭が出走した第73回朝日杯フューチュリティステークス(12月19日、阪神芝外回り1600m、2歳GI)で、武豊が騎乗した3番人気のドウデュース(牡、父ハーツクライ、栗東・友道康夫厩舎)が優勝。22回目の挑戦で朝日杯を制した武は、史上初となるJRA・GI完全制覇までホープフルステークスを残すのみとなった。
半馬身差の2着は1番人気のセリフォス、さらに半馬身遅れた3着は4番人気のダノンスコーピオンだった。
ドウデュースが他馬と違っていた点
アルナシームが立ち遅れた以外、出走馬はほぼ横並びのスタートを切った。
武のドウデュースもスムーズにゲートを出て、中団馬群の外目で折り合いをつけた。武は言う。
「そんなに手のかからない馬なので、周りを見ながらレースができる。道中のリズムもすごくよくて、いいポジションにおさまりました」
クリスチャン・デムーロが乗るセリフォスは掛かり気味に先行し、ドウデュースより3馬身ほど前にいた。
前半600m通過は34秒3。平均よりやや速めか。
そのあたりで、ドウデュースは、少し位置取りを下げてきた松山弘平のダノンスコーピオンの外に併せる形になった。松山もやや重心を後ろにかけて、前に行こうとする騎乗馬を宥めている。
ここで折り合っていたドウデュースが、掛かり気味になっていたセリフォスとダノンスコーピオンを、ゴール前の瞬発力で上回ることになった。勝敗を分けたポイントをひとつ挙げるとするなら、やはり、道中での折り合いだろう。