迷わず大外に持ち出した武

　そこからもペースは淀みなく流れ、800m通過は46秒2。15頭の馬群は、先頭から最後方まで12、3馬身の縦長になった。

　ドウデュースは3、4コーナーを回りながら先行集団との差を詰め、セリフォスを1馬身半ほど前の内に見る形で直線に向いた。武はこう振り返る。

「（有力馬が近くにいたのは）たまたまです。（追い出しを）待つ余裕がありました。手応えよく直線に向いて、あとは馬に頑張ってくれ、という感じでした」

　武は、直線で迷わず馬場のいい大外にドウデュースを持ち出した。ラスト400m付近で、内のセリフォスに押し出されたオタルエバーに寄られるシーンもあったが、ドウデュースは怯むことなく伸びつづける。

　ラスト200m地点でセリフォスが先頭に立った。ドウデュースは外からセリフォスに並びかけ、さらにストライドを伸ばす。内からはダノンスコーピオンも差を詰めてくる。

　ドウデュースとセリフォスの叩き合いがつづいたが、終始ドウデュースが優勢だった。ドウデュースが体半分前に出たままゴールを駆け抜けると、スタンドから大きな拍手が沸き起こった。

武「毎年このレースが近づいてくると…」

「さすがに相手も強くて、しぶとかったけど、ドウデュースが最後まで一生懸命走ってくれました。初めて乗ったときからいい馬で、一戦ごとに強くなっていて、まだまだ強くなりそうな予感があります」

　そう話した武にとって、これが一昨年の菊花賞以来、2年2カ月ぶりのJRA・GI勝利（通算78勝目）となった。2着は5回あったものの、朝日杯は初勝利。ホープフルステークスを勝てば、JRAの平地GI24レースをすべて制することになる。

「毎年このレースが近づいてくると、今年は勝ちたいな、と。ようやく勝つことができて、本当に嬉しいです。来週（のホープフルステークスで）、リーチ一発で決めたいですね」

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