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野球善哉BACK NUMBER
パドレス3A・加藤豪将(27歳)が考える“メジャーリーガーとの差”「野球とベースボールは全然違う」「筒香選手の姿に感動しました」
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byGetty Images
posted2021/12/21 11:02
今季パドレス傘下3A(AAA)でプレーした加藤豪将。自身が考える「メジャーリーガーとの差」について語ってもらった
マイナーから叩き上げの選手はそうした経験を積むことで、対応力を身につけていく。
だからこそ、加藤は日本のプロ野球を経てやってくる日本人メジャーリーガーの凄さを感じるのである。彼らは自分たちとは異なり、叩き上げで身につけたわけでもないのに、野球とベースボールに大きな違いがある中で適応しているのだ。
鈴木のメジャー挑戦は日本球界にとって一つのターニングポイントになるだろう。
パワーとスピードを兼ね備えた「メジャー型の選手」との期待が鈴木にはあり、日本での圧倒的な打の成績を引っ提げての挑戦は日本人打者の価値を再評価してもらうきっかけにもなる。
ただそれはあくまで「成績」と照らし合わせただけのもので、環境変化への対応がメジャーでの成功のカギになるということである。
加藤は続ける。
「7月半ば、AAAで対戦した筒香(嘉智)選手とお話をさせていただいて、努力されている姿に大変感動しました。ご挨拶に伺うと僕を笑顔で迎えてくださり、メジャーに比べれば劣悪な環境にもかかわらず、その環境に適応し最高のパフォーマンスを出そうと集中されていました」
加藤はメジャーに挑戦している日本人選手に対して、物凄いことに常にチャレンジしているとリスペクトしているのだ。
西海岸と東海岸で「野球が変わる」
そうした中で加藤にとっての今シーズンは環境に対応した1年だった。これが今後への足がかりになる。
「何度も言うんですけど、環境に対応できたのが大きかった。パドレスがあるウェストコースト(西海岸)だと気温が高くて、空気が乾いているので、ボールが飛ぶんです。そのため、投手は変化球、シンカー、ツーシームなど落ちる球を投げる。一方、ヤンキースやマーリンズの時のイーストコースト(東海岸)は高めのファストボールを投げてくる。そこは打っても飛びにくい気候なので、そういう攻められ方をされる。そうした違いがある中で、変化に対応できたのは自信になります」
「それが自分とメジャーリーガーの違い」
マイナーから這い上がるのは過酷、日本で活躍してからメジャーに挑戦した方がいい。これが一般的なメジャーという舞台の難しさを表現する言葉だろう。しかし、加藤の話を聞けば、ことはそう単純ではないことがわかる。
どちらが過酷で、どちらが楽ということはない。
「環境が変わってもちゃんと数字を残したいですね。そこが一番大事なことだと思います。それが自分とメジャーリーガーの違い」
10年目の来季こそ、加藤はメジャーリーガーの仲間入りを果たす。(後編につづく)
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