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野球善哉BACK NUMBER
ヤンキースのドラフト指名まで「プロ野球選手になるとは思っていなかった」来季10年目、加藤豪将27歳が語る現在地と“引退後の夢”
posted2021/12/21 11:03
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
AFLO
現実的な夢はむしろジャーナリストだった。
高校を卒業したら推薦入学が内定していた名門大学・UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)でコミュニケーション学を専攻する。そんな青写真を描いていた。2013年のMLBドラフトで指名されるまでは。
「高校時代に、地元・サンディエゴの記者にお世話になったので、ずっと記者になりたいと思っていました。プロ野球選手になるとは思っていなかったです」
イチローに自分を重ね合わせた少年時代
1994年、カリフォルニアで生まれ、3歳の時に日本へ。その後、6歳の時に再び渡米し、両親の勧めもあって地元の野球チームに入部。数奇な運命はここで開かれることになる。
「00年に、イチローさんはシアトル、自分はサンディエゴに来ているので、同じ時に太平洋をクロスしたと勝手に思ってきました。とはいえイチローさんを見てプロを目指そうと思ったのではなくて、アメリカという世界で、日本人が活躍している。ダグアウトでチームメイトと話し、尊敬を集めている。自分もそんなふうにアメリカで生きていきたいと」
渡米当初は英語を話せたわけではなかった。そのため、友達ができにくく、文化も分からなかった。そうした状況で、イチローの活躍に自らを重ね合わせ、野球チームに入ることで加藤の野球人生は始まった。そして加藤が13年にヤンキースからドラフトされた際、そこにはイチローがいた。偶然ではあるが、人生とは分からないものだ。
ただ高校を卒業する頃もプロ野球選手になることを現実的に考えていたわけではなかった。
父の出身校でもあるUCLAに自分も行く。野球は続けるつもりだったが、現実的にはジャーナリストを目指していたのだった。