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メジャーリーグ挑戦表明・鈴木誠也(27)の同世代は“スター”ばかりで超高給? 大谷翔平は3億円超、“収入事情”と実績を調査してみた
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by©BUNGEISHUNJU
posted2021/12/20 17:04
ポスティングによる「メジャー移籍」を目指す、広島の鈴木誠也
鈴木と同じ外野手でWARランキングを見てみると…?
では、鈴木と同じ外野手でWARランキング上位に誰がいるのかといえば、最高位は5位に該当するアンドリュー・ベニンテンディ(ロイヤルズ)だ。外野手だけに絞って「1994年生まれWARランキング」を調べてみると、以下のようになる。
(5) A・ベニンテンディ(ロイヤルズ) 68本塁打 61盗塁 長打率.437 WAR12.5
(7) B・ロウ(レイズ 内野手兼任) 76本塁打 17盗塁 長打率.518 WAR10.8
(8) H・ベイダー(カージナルス) 47本塁打 40盗塁 長打率.417 WAR10.6
(10) M・マーゴット(レイズ) 44本塁打 75盗塁 長打率.388 WAR10.0
(12) R・ラウリアーノ(アスレチックス) 49本塁打 34盗塁 長打率.465 WAR9.6
1994年生まれのWARランキング上位3人を含む、上記8人はメジャー歴最長でも7年(コレアとシーガー)で、日本プロ野球(NPB)で9年プレーした鈴木の成績を単純比較はできないが、広島での最初の2年は1本塁打、0盗塁で、長打率も平均.434だったが、それらが47試合の出場によるものに過ぎないことを考慮すれば、以下のような彼のNPB通算の成績も、少しは参考になる。
鈴木誠也(広島) 182本塁打 82盗塁 長打率.570
どの数字をとっても鈴木が上なので期待が膨らむのだが、もちろん、NPBの成績がそのままMLBに反映されるわけではない。
松井秀喜の日米の成績を比較して分かること
たとえばNPBでもMLBでも10年間プレーし、それぞれの出場試合数もさほど変わらない松井秀喜氏の本塁打数は、NPB通算332本塁打、MLB通算175本塁打と大幅に減少している。今季、NPB時代のシーズン22本塁打を大きく上回る46本塁打を放った大谷翔平を例外と考えるなら、その事実は「日本人は外国人のパワーには敵わない」という『限りなく現実に近い偏見』に繋がってしまう。
だからこそ興味深いのは、本塁打と共に長打率の重要な要素である「二塁打」と「三塁打」の数ではないか。
▽松井秀喜氏の日米成績
二塁打 三塁打 本塁打 長打率
MLB 249 12 175 .462
NPB 245 16 332 .582
NPB時代よりもMLB時代の方が全体的な数字は下がっているのに、二塁打と三塁打はほぼ同等の数字が残っている。それはMLBの野球場がNPBに比べて広いところが多かったり、外野フェンスが左右非対称で歪な形をしているといった外的要素も関係あるのではないかと推測するが、理由はともかく、「本塁打以外の長打」はほぼ同等だったと考えることができる。
前述の通り、NPBで22本塁打の大谷が、MLBで46本塁打を記録した好例もあるので、「本塁打に期待せず、二塁打と三塁打を狙え!」などと言いたいわけではないが、鈴木がMLBで好成績を残すため、「5ツール」の一つで守備にも関係ある「スピード」が鍵を握っているのは確かだろう。下記が、前述の鈴木誠也の“ライバル”となりうる同世代選手たちの二塁打、三塁打に関する記録である。
C・コレア(7年) 162二塁打 8三塁打
A・ブレグマン(6年) 169二塁打 12三塁打
C・シーガー(7年) 164二塁打 12三塁打
A・ベニンテンディ(6年) 146二塁打 15三塁打
B・ロウ(4年) 63二塁打 6三塁打
H・ベイダー(5年) 65二塁打 8三塁打
M・マーゴット(6年) 94二塁打 22三塁打
R・ラウリアーノ(4年) 70二塁打 4三塁打
鈴木誠也(9年) 182二塁打 16三塁打