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渋野日向子(23)&古江彩佳(21)の過酷な8日間…米ツアー予選会突破を見守った現地レポーターが驚く「対応力」と「集中力」 

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南しずか

南しずかShizuka Minami

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photograph byKyodo News

posted2021/12/17 11:04

渋野日向子(23)&古江彩佳(21)の過酷な8日間…米ツアー予選会突破を見守った現地レポーターが驚く「対応力」と「集中力」<Number Web> photograph by Kyodo News

長丁場の過酷なQシリーズを突破して、来季の米ツアー出場権を獲得した渋野日向子(23歳)と古江彩佳(21歳)

――渋野日向子選手の印象に残ったプレーはありますか?

片平 2週目の7日目に7オーバーの「79」を叩いたことで、最終日にスコアを伸ばさないとシード権を逃すというプレッシャーがあったと思いますが、その中で最終日に3アンダーを出したことは立派だったと思います。追い込まれた状況でも、しっかり実力を発揮している姿がとても印象的でした。

――日によってスコアの波がある原因はどこにあると思いますか?

片平 疲れが影響したと思います。8日間と長丁場の大会なので試合前は、体力と疲労のバランスを考えて、練習は1日9ホールだけにするという選手が多いんですが、渋野選手は早めに渡米し、毎日18ホールみっちりやっていました。大会期間中も試合を終えると、日が落ちるギリギリの17時頃まで毎日練習。濃霧の影響で多くの選手が会場から一度引き上げた時も残って練習していましたね。

 ぬかるんだ地面もあったので、歩くだけでも足にくる体力的にキツいコース。2日も大きく崩れてしまったのは、蓄積した疲労の影響があったのではと思います。ただ、それでも20位に入ったことは練習の成果が結果に結びついたと言えます。

――渋野選手は普段からよく練習するイメージがあります。いつも以上に気合いを感じましたか?

片平 かなり感じました。米ツアーで戦いたい、シード権を取りたい!という気持ちが(練習時の集中力から)すごく伝わってきましたね。

――以前と比べてどんなところに成長を感じていますか?

片平 プレーを見たのは今年6月下旬のKPMG全米女子プロゴルフ選手権以来です。その時と比べて、ドライバーの飛距離が出ている印象を受けました。改造したスイングが、かなりまとまってきた印象です。また、ウェッジの精度も上がっていました。今年はキャディーバッグにウェッジを4本入れて練習していたのをよく見かけたのですが、今回はそのウェッジでバーディチャンスをたくさん生み出していました。リスク覚悟でスイング改造に取り組んできたと思いますが、たった1年間でここまでスイングを固められたというのは相当な努力があったはずです。

「優勝カップよりも嬉しいかも!」

――Qシリーズでシード権を勝ち取った。この経験はやはり大きい?

片平 Qシリーズは経験した人じゃないと分からない、すごく「辛い場所」というか。みんな自分の人生をかけて一打一打プレーするので、普段の試合とは緊張感が全く違います。自力でシード権を獲得できたことで、また一歩レベルアップできるというか、得られた経験値はとても大きいと思います。

――ホールアウトした渋野選手の様子はどうでしたか?

片平 最終日は練習場にいる時からすごい集中力でした。ボギースタートとなりましたが、集中を切らすことなく、ずっと緊張感が張り詰めている感じ。18番を終わってからすぐにインタビューしたのですが、その緊張の糸がプツンと切れた感じで「終わったー」という安堵の表情を浮かべていました。20位と決まった瞬間は満面の笑みを浮かべ「優勝カップより嬉しいかも!」と喜んでいたので、8日間ずっと気持ちが張り詰めていたんだろうなということは伝わってきましたね。

――渋野選手にはギャラリーがついていたと聞きました。

片平 通常、Qシリーズは関係者や身内しか応援に来ませんが、渋野選手の組だけ30人前後のギャラリーがついていました。同組の選手たちも驚いていましたね(笑)。

 毎日、日が暮れるまで練習していてもファンの方たちもずっと待っている。練習が終わってからファンの方たちと記念撮影してサインを書いていましたし、プレー中もギャラリーが「ナイスショット!」と声をかけると「ありがとうございます!」と答えていました。疲れている時もあったと思うのですが、そういった真摯な対応は本当に素晴らしいと思います。

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